お金の使い方を知る
カテゴリ:07.プレジデントニュース 
作成日:11/27/2003  提供元:プレジデント社



 最近、お金についてよく考える。

 というのも、念願かなって車を購入したからだ。巷で人気のコンパクトカーで、先月登録しただけの新古車だ。価格は私にとって安くはないが、世間一般の車の価格としては決して高くもない。

 費用全額を現金で払ってしまおうか迷ったが、そんなことをしたら社会人3年目の私の懐はそれだけで破綻してしまう。

 結局、費用の4分の1ほどを頭金として現金で払い、残りはローンを組むことにした。

 プレジデント誌別冊『「ジリ貧」家計「安心」家計』(発売中)の制作に携わった時、「これは私のこと?」と思ってしまうような、とある例に目が留まった。

 25歳Poor――車のローンに追われている彼の例。

 彼と私では、年齢も異なれば年収も違う。ましてやローン返済額も違う。だから比較の対象にはならないのだが、著者である依田宣夫氏のコメントによるところの「欲しい物を手に入れて何をするのか、何のためにそれが必要なのかをよく考える必要がある」。それについては私にも十分当てはまることなのだ。

 車を買ったら友人や家族を誘って近場の温泉にでも行こう。運転に慣れてきたら車で一人旅をしてみたい。冬はスノーボードを積んで雪山へ行こう。そんなことを夢見て買った車だが、実際はどうなのだろうか。

 毎月、給料の3分の1が車関連費として消えていく。ローン返済、駐車場代、保険料、ガソリン代。いざというときに必要になってくる修理代、整備代。3年後には車検代もかかってくる。欲しい物を手にしたことで窮屈な生活になり、行きたいところへも行けなくなってしまう。車はいつも駐車場に置いてあるだけ。そんな思いをして維持していくことになる夢にまで見た“車のある生活”。全く味気がないとはこういうことだ。

 お金お金…と卑しく聞こえるかもしれないが、お金のことを考えないで生活している人はいるのだろうか。

 不況を語るほど、私はまだ社会の中に溶け込めていないうえ、家計を支える一家の大黒柱なわけでもない。私が無謀なお金の使い方をしたところで誰も困らないし、誰かに迷惑をかけることもないだろう。

 しかし、自分自身の問題となれば話は別だ。これからの長い人生について考えたとき、社会は、いや日本はどうなっているのかわからない。だからこそ「何に使うか」「いくら使うか」をそのつど自分自身で見極め、納得して決めていかなければならないのではないだろうか。

 収入が多い少ないにかかわらず、使い方しだいで誰もがRichになれるチャンスがあるのかもしれない。

 これが人生最大のローンを抱えて学んだことだ。

 年末のボーナスの時期がやってくる。

 11月22日(土)発売のプレジデント誌では『大公開! 他人の給料袋』と題してお金の特集を組んだ。普段聞くに聞けない他人の懐具合を知ることは、自分の社会的価値・評価を知る目安になるのではないだろうか。

〔プレジデント編集部 editor's letter〕