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「挑戦! 敏文的思考力」測定テスト全20問の回答
カテゴリ:
07.プレジデントニュース
作成日:
02/23/2005
提供元:
プレジデント社
さる1月24日にプレジデント社から発売されたジャーナリスト勝見明氏の手になる『鈴木敏文の「本当のようなウソを見抜く」』は順調に版を重ねており7万5000部を突破。現時点でも丸善丸の内本店や八重洲ブックセンター、新大阪のブックストア談でビジネス書1位になるなど、おかげさまで好調な売れ行きです。
本書のエッセンスは同日発売の「プレジデント」でも特集しました。特集の中(54~55P)で「挑戦!『敏文的思考力』測定テスト全20問」という記事を掲載しましたが、その解答は掲載しませんでした。本書を読んでいただくと解答がわかる仕組みになっていたのです。半分宣伝のような記事で読者の皆様には大変ご迷惑をおかけしました。
ということで、まだ本書を購入されていない方もいらっしゃると思いますが、ここに解答を記します。ただし、ここで記す解答そのものよりも、鈴木敏文セブン-イレブン会長が導きだす「理由」こそが実は重要だということだけは強調させていただきます。いままで仕事のことで悩んでいた人の目からウロコが落ちると思います(後述しますが、私もまさにその一人でした)。
それでは、以下が質問と解答です。
◆Q1 商品の「完売」は喜ぶべきことか?
◇A 喜んではダメ。「完売」は買い手の「機会ロス」だからです。セブン-イレブン店が他チェーン店に比べ日商平均で約20万円上回る結果が出せる理由はここにあります。
◆Q2 本は線を引きながら読むべきか?
◇A 自分が納得したところに線を引いても意味がありません。もし引くのであれば、自分の意見と違う部分に引くことです。
◆Q3 ケータイ代が増えたからヒット商品が生まれないのか?
◇A 違います。確かに携帯電話の使用料は増えていますが、他の分野のヒット商品がなくなっているでしょうか? むしろメーカーなど作り手側の意識に問題があるのです。
◆Q4 中長期計画は積極的に立てるべきか?
◇A 変化の激しい今日では立てても意味がありません。むしろ数字のつじつま合わせの経営に陥る危険があります。
◆Q5 入社したら、早く会社に慣れるべきか?
◇A 慣れてはいけません。純粋な顧客の視点が失われるからです。いまのビジネス環境においては「プロフェッショナルの定義」が変わっていることを認識するべきです。
◆Q6 経済新聞を毎日まじめに読むべきか?
◇A 新聞を読んで情報を得ることはビジネスマンにとって必要なことです。ただしその「読み方」に問題があるということです。大事なことは記事の内容を「鵜呑み」にしてはいけないということです。
◆Q7 自分たちが商売の「主体」になるべきか?
◇A 一見なるべきだと思われますが、実は違います。「主体」になればなるほど顧客の真実から遠ざかる危険性が出てきます。
◆Q8「漫談」と「対話」はどう違うのか?
◇A 商売相手とナアナアな関係になって話すのが「漫談」。「対話」ができるのがプロのビジネスマンです。
◆Q9 報告書にある「丸まった数字」はどう読むべきか?
◇A 疑うべきです。自分が報告書を書くときのことを想像してみましょう。
◆Q10 合理化はまず「人件費」を削減すべきか?
◇A すべきではありません。経費を減らして利益を上げることは会社にとって縮小均衡に過ぎないからです。
◆Q11 挑戦すべきか、妥協すべきか?
◇A これはケースバイケースです。ただし、あなたの人生観が問われることを認識すべきです。
◆Q12 顧客は「迷っている」のか、「確認したい」のか?
◇A 商品やサービスが多様化しているので一見迷っているように見えますが、実はウソ。「確認したい」のです。お金を払って元がとれるのか、ということを。
◆Q13 株価は会社の業績を反映しているものか?
◇A 株式相場全体は時代を反映しますが、個別の銘柄はその限りではありません。
◆Q14 みんなが反対していることに挑むべきか?
◇A 挑むべきです。みんなが反対することこそ成功の可能性は高いからです。
◆Q15 挑戦を始めたら寝食を忘れてのめり込むべきか?
◇A のめり込むべきではありません。そうすることによって会社経営が傾いてしまうこともあるからです。
◆Q16 部下の不出来は「仕方がない」と許すべきか?
◇A 許すべきではありません。部下の成長が止まるからです。
◆Q17 売れないので値引きすべきか?
◇A すべきではありません。安くしなくては売れないというのは売る側の決めつけです。
◆Q18 好調な同業種のライバル店を視察すべきか?
◇A これも一見よいことに思えますが、ウソです。視察すべきではありません。良いところを真似したくなるからです。
◆Q19 「顧客のため」と「顧客の立場」の違いは何か?
◇A この質問は本書の最大のテーマですので、立ち読みでも結構ですから23ページをお読みいただければ幸いです。
◆Q20 好調他社のものまねをただちにすべきか?
◇A ものまねをしたほうがラクに見えますが、これも「本当のようなウソ」。すぐに価格競争に巻き込まれるだけです。新しいものを生み出すほうが実はラクなのです。
いかがでしたでしょうか?
もう少し、この問題について知ってみたいと思われたら、ぜひ、『鈴木敏文の「本当のようなウソを見抜く」』(1300円・消費税込み)を読んでみてください。ちなみに私が一番目からウロコが落ちたのは本の巻末にまとめてある「75の真実」の中の真実47番目「人間は自分の問題になると『保守的』になる」でした。
この本を作っているときも、昨年刊行した『プロフェッショナルマネジャー』(ハロルド・ジェニーン、アルヴィン・モスコー共著/田中融二訳、柳井正解説)を作っている時もそうでしたが、発売される前まではその本が売れるかどうかわかりません。だからタイトルやカバーデザインなど、何を決めるにしても保守的で他のヒット作品のモノマネをしたくなりました。これは人間の本性なのかもしれません。
しかし、モノマネをした瞬間、Q20の解答にもあったように、他の本との差別化ができなくなり、書店の本の山の中に埋もれてしまうだけなのです。
そんな弱気になったとき、セブンーイレブンではOFC(店舗相談員)がオーナーの保守性を解放すべく、いろいろと働きかけてくれるようです。
私の保守性を解いてくれたのは上司であり、なにより著者の勝見明さんでした(著者に励まされる編集者も珍しく、普通は逆なのですが……)。
と、このように私にとってこの『鈴木敏文の「本当のようなウソを見抜く」』は仕事において、いやそれ以上に「人生の示唆」を投げかけてくれました。
一読していただければわかると思いますが、この本はビジネス書というよりは、なにか「人生指南書」のような読み方をすることもできるのではないかと、密かに思っています。
〔プレジデント編集部 editor's letter〕