医療にも国際化の波
カテゴリ:03.ニュースアンテナ 
作成日:04/14/2011  提供元:税務研究会・税研情報センター



 海外で医療を受けるメディカルツアーの人気が高まっています。


●海外医療ツアーの人気

 最近、医療と観光をセットにした「海外医療ツアー」が人気を集めています。このような、医療を受ける目的で海外へ渡航する「医療ツーリズム」は現在、世界約50ヵ国で実施されており、特にアジアは一大拠点となりつつあります。




 医療ツーリストの渡航目的は、7割が「最先端の医療技術」や「より良い品質の医療」を目的とするものですが、米国のように「低コストの医療」を目的とする場合もあるようです。以前の医療ツーリズムは先進国へ最先端の治療や臓器移植などの治療を受けるための渡航が主流でしたが、現在は米国やイギリス、カナダといった先進国からアジア、中南米の新興国へ渡航という新たな流れも加わりました。

 昨今の海外医療ツアーでは、安く高水準の医療を受けることはもとより、充実した設備で治療が終わった後観光も楽しめるというものが人気を集めています。タイのバンコクのある病院では、一流ホテル並みにビジネスパーソンのためのサービスを用意し、インドでは、タージ・マハルの観光とセットになった医療パッケージツアーも用意されています。


●国内の動向

 日本でも、医療費が安いという理由よりもホテル並みのグレードの高い病室や、きめ細かいサービスを求めてタイや韓国、シンガポールなどのメディカルツアーに参加する人が増えています。特に、アジア地域の病院は医療ツーリストのための優良病院として世界のトップテンのうち6病院が選ばれており、医療技術の面でも日本にひけをとらない治療を受けられることが人気に拍車をかけているようです。

 このような医療ツーリズムの流れを受けて、日本でも中国・ロシアの富裕層をターゲットとした取組みが始まりました。今年の1月からは、「医療滞在ビザ」が創設され、2月には早速このビザで中国の男性が手術のため来日しています。

 医療ツーリズムは産業としてもその市場規模・経済波及効果が大いに期待されている分野です。タイやマレーシア、シンガポール、韓国では既に医療ツアーブームが起きており、中国もアジア最大級の医療施設「燕達国際健康城」を昨年オープンさせました。後発国の日本は医療滞在ビザの新設で間口を広げることにより、高度な医療技術や観光資源を武器に多くの医療ツーリストを呼び込もうと取り組んでいます。

【ニュースアンテナ4月号 税研情報センター】