日本的経営システムの見直し -護送船団方式-
カテゴリ:05.経営塾 
作成日:11/30/1998  提供元:EPSON



 日本的経営が見直しの時期にきているが、今回から何回かのシリーズで日本的経営で見直さなければならないシステムを考えていきたいと思う。

-護送船団方式-

 日本の銀行は護送船団方式と言われ、一番力の弱い銀行(船足の遅い船)に合わせて預金金利の決定(百万円の預金金利も、1億円の預金金利も同一金利)や貸出金利の決定を行ってきた。
 また、産業界も○○グループとして、銀行や商社を中心にグループを形成し、護送船団を組む事になった。
 自動車産業においても、トヨタグループ・日産グループと言うように、系列を明確にし、護送船団を組んでいる。
 このような護送船団システムは、過去には大きな力を発揮した事は確かだが、ボーダレスの時代には、明らかに非効率なシステムとなってしまった。
 そこで日本の企業は、護送船団方式に頼らなく生きる事をここに決意し、実行しなければ、生き残る事が出来ない事を覚悟すべきである。


 会社が、護送船団の戦艦であるならば、船足の遅い輸送艦や古くて能力のない駆逐艦等すべてを守る力がない事を自覚し、一部の船のスクラップ&ビルドと、他グループからの効率的サービスを考えるべきである。
 会社が、護送船団の輸送艦なら船団の重荷になっていないかを再考し、船団に役立つような船に作り変えておかねば切り捨てられる運命にある事を経営者は認識すべきである。
 会社が、護送船団の中で非常に重宝がられているとしても、その能力を持て余し、港に係留されている時間が長いとしたら、大問題である。
 効率的に運用をするためには系列を超えて、他の船団(グループ)に積極的に貸出をしなければ宝の持ち腐れになってしまう。
 このように系列を超えたグループへのサービスの提供、商品の供給を行える企業に変身して初めて、ボーダレスの時代に生き残れる事を経営者は認識すべきである。


 護送船団方式が悪いのではなく、護送船団の中に船足の遅い船や、能力のない古い船が混ざっている為、スピードを一番能力のない船に合わせて進まなければならない事が問題なのある。
 そこで、能力のない船のスクラップ&ビルドと、効率の良い船のレンタル(他グループからでも、良いサービスや商品の供給は積極的に受ける)をドラステックにやり、効率の良い護送船団を作り上げる事が大事である。また、効率の良い船は日本の船に限らず、全世界を対象に捜す必要がある。
 これからの企業は、そのサービスや商品の提供先を、グループを超え、日本国内を超え、提供できる企業体に中小企業と言えども変身しなければ生き残れないのである。