ゆうちょ銀個人向け融資地銀などは戦々恐々
カテゴリ:01.週刊NP 
作成日:02/03/2017  提供元:エヌピー通信社



 ゆうちょ銀行が、個人向け融資への本格参入を検討していることが分かった。個人向けカードローン事業の認可取得を目指し、近く政府と正式な協議に入る方向で調整している模様だ。ユーザーの利便性が高まる期待がある一方、地域金融機関の間では「民業圧迫」との批判が根強く、認可取得までには曲折も予想される。

 ゆうちょ銀は独自の融資業務が制限されており、売上高のほとんどを資産運用収益が占める。だが、日銀によるマイナス金利政策などの影響で金利水準が大幅に低下し、国債の運用益などが減少。新たな収益源の確保が喫緊の課題となっている。

 これまで個人向けでは、提携するスルガ銀行の住宅ローンやカードローンを仲介してきたが、システムの構築などを経て、早ければ2018年度中にも独自のカードローン事業を立ち上げたい考え。全国に構える店舗ネットワークを活用し、個人顧客のニーズに応えていく戦略だ。

 ただ、地方銀行や信金、信組などは、人口減少という構造的な問題に加え、マイナス金利による利ざや縮小で厳しい顧客獲得競争を展開している。「知名度が高いゆうちょ銀が個人向け融資に参入してくれば、ほとんど太刀打ちできない」(九州地方の地銀幹部)という地域金融機関は少なくない。

 ゆうちょ銀はこれまで個人向け融資を事実上扱ったことがないため、リスク管理能力の不足も指摘されている。政府内にも「ゆうちょ銀は地域活性化ファンドの共同運営などを通じて地域金融機関と連携し、いろいろなノウハウを学ぶのが先決」との見方がある。仮に正式に申請しても政府は慎重に判断すると見られ、実際に認可を得るまでには相当の時間がかかる可能性もある。