固定資産税一向に減らない行政の計算ミス島根・津和野町で11年間過徴収課税額の自主確認を!
カテゴリ:01.週刊NP 
作成日:07/15/2016  提供元:エヌピー通信社



 島根県津和野町は7月13日、住民85人の固定資産税について2006年から11年間にわたって過大に徴収していたことを明らかにした。税額計算の基礎となる地価の下落が反映されていなかったことが原因で、過徴収の総額は約340万円になるという。

 町によれば、今年4月に住民の相続手続きを請け負った税理士が評価額の異常に気付き、「高過ぎるのではないか」と指摘して発覚したという。同町は05年に旧津和野町と日原町が合併しており、その際のシステム移行で、一部の課税項目に地価の変動が反映されないよう設定されてしまったことが原因。町は規定に従い、過徴収した340万円と還付加算金20万円の全額を返却する方針だ。

 また佐賀県杵島郡白石町でも11日、町内のアパート2棟の固定資産税を14年間、計約75万円多く徴収していたことが分かった。アパートの所有者からの指摘で発覚した。

 このような自治体のミスによる固定資産税の過徴収は近年全国で相次いでおり、総務省が全国に注意と再確認を呼び掛ける通知を出すに至っている。通知に従い自治体が自発的に確認を行った結果、過徴収が発覚した自治体も多数ある一方で、今回のように通知後に納税者や外部の指摘によって初めて判明した例も多く、未だ発覚していない固定資産税の過徴収は全国に多く存在するとみられる。

 津和野町のケースでは全額が納税者に返還されるが、多くの自治体では過徴収に対する返還に時効を定めており、行政のミスで多く取られた税金が納税者の元に返ってこないことも多い。また返却にかかる還付加算金の原資も税金であることから、二重の税金のムダ遣いとも言える。

 固定資産税は自治体が計算した税額が納税者に通知され、それを納める「賦課課税方式」を採っている。ともすれば書かれている税額をそのまま信じて納付してしまいがちだが、全国で過徴収が一向に減らないことや、納めてしまった税金は戻ってこない可能性があることを踏まえ、一度は税額の自主確認を行っておきたい。