消費増税法案 今国会中の成立困難 与野党歩み寄るも溝深く
カテゴリ:01.週刊NP 
作成日:05/18/2012  提供元:エヌピー通信社



 衆議院本会議で11日から論戦が本格化した消費増税関連法案は、自民党などの野党から、あいまいなままの制度設計に対して批判が続出。野田佳彦首相は「(増税議論で)民主党と自民党の前に大河はあるが、渡るべき川は深くはない」と自民に歩み寄りを求めた。自民党は野田毅税調会長が「税制改革の足を引っ張るつもりはない。むしろ推進勢力だ」と応じたものの、低所得者対策などに大きな溝があり、6月21日までの今国会中の成立は見通せない状況だ。

 政府が低所得者対策として制度設計を進めている「給付付き税額控除」には、自民党の野田毅政調会長が「不正直に申告をした人が、過大に給付を受け取る可能性がある」と〝ばらまき〟の側面を指摘した。自民党や公明党からは政府案の代わりに、増税時に食料品などの税率を低く抑える「軽減税率」を求める声が根強いものの、消費税に関する対案作りは進んでいない。

 「社会保障は政策、消費税は政局」(自民党幹部)ととらえる同党は「社会保障」については対案を出し、政府案の大幅な譲歩を待って消費税の対案を出す構えだ。今後は、政府が自民、公明両党の主張に歩み寄るかが焦点となるが、「自民党案は考え方だけで対案になっていない」(民主党幹部)との声も根強い。消費税の対案が出なければ、政府側も修正協議に応じることはできず、今国会中の法案成立がますます困難になる見通しだ。