スイッチOTC薬年間1万2000円超で税軽減セルフメディケーション税制
カテゴリ:01.週刊NP 
作成日:01/20/2017  提供元:エヌピー通信社



 ドラッグストアなどで買える市販薬「スイッチOTC薬」の購入費が年1万2000円を超えた場合に税負担が軽減される特例制度「セルフメディケーション税制」が今年1月から始まった。セルフメディケーションとは世界保健機関(WTO)でも定義されている言い回しで、軽い病気などの場合は、すぐに医療機関にかかるのではなく自ら市販薬を購入するなどして健康管理を促すことの意味。国内では高齢化により医療費など社会保障費の増大が続いており、政府には国民が自ら健康増進を図る取り組みを後押しする狙いがある。2021年末までの時限措置。

 スイッチOTC薬とは、医師の処方が必要な医療用医薬品から転用された有効成分を含む医薬品のこと。対象薬は、かぜ薬や鎮痛剤など1555品目(16年12月末)に上る。税負担の軽減対象になるには、購入した際のレシートなどを保管し、翌年に確定申告する必要がある。分かりやすいように、購入時のレシートには商品名の横に「★」や「セルフメディケーション税制対象」などと記載される。家族の年間購入額が1万2000円を超えた場合に、最大8万8000円までが課税所得から差し引くことができる。ただし、健康診断や予防接種など健康増進に向けた取り組みをしていることも条件で、単純に医薬品を購入するだけでは制度の恩恵は受けることはできない。

 課税所得が400万円で、制度の対象となる医薬品を年2万円購入したケースでは、下限額である1万2000円を差し引いた8000円を控除することができる。その結果、所得税(国税)は1600円、個人住民税(地方税)は800円の減税効果がある。

 これまでも医療機関への通院費や入院費の自己負担額や、市販薬の購入費用などが年10万円を超えた場合の医療費控除の制度はあった。医療費控除制度と今回のセルフメディケーション税制は併用できない。