固定資産税評価の地積は市側に立証責任があると判示
カテゴリ:06.地方税 裁決・判例
作成日:08/18/2009  提供元:21C・TFフォーラム



 固定資産税の登録価格をめぐり不動産登記簿に登記されている地積と同一であることを基にする登録価格が地方税法341条5号に定める適正な時価に該当するか否かの判断が争われた事件で、東京地裁(杉原則彦裁判長)はK市の固定資産評価審査委員会が登記地積に基づく評価を適正と判断して行った審査決定の全部を取り消すとともに、審査決定のすべてのやり直しを命じる判決をK市側に言い渡した。

 この事件は、土地の共有者である原告らが、各土地に係る固定資産税の課税標準としてK市長が決定して固定資産税課税台帳に登録した価格を不服として、市の固定資産評価審査委員会に審査の申出をしたところ、同委員会がその申出に対して棄却決定をしてきたため、市側にその取消しを求めて提訴していたという事案。つまり、同委員会は筆界の特定や各筆の土地の地積の確定はその所有者がすべきであるとして、納税者の立証がないことを理由に市の登録価格を適正と判断して棄却決定をしてきたわけだ。

 この訴えに対して判決は、登記地積が現況地積よりも「相当程度大きいものである蓋然性が極めて高い」と認定。その上で、市側には登記簿がその現況地積を上回るものではないことの主張立証を尽くす必要があると指摘し、その積極的な主張立証がない以上、登記地積による価格決定は違法であると判示するとともに、同委員会による審査のやり直しを求めて審査決定を全部取り消している。つまり、固定資産税評価の基礎となる地積については課税側つまり市側に立証責任があるという判断をしたわけだ。

(2009.03.06 東京地裁判決、平成19年(行コ))