ペット供養施設への固資税賦課を巡る争いは上告棄却で確定
カテゴリ:06.地方税 裁決・判例
作成日:08/26/2008  提供元:21C・TFフォーラム



 寺院が行うペット等の遺骨の保管施設は宗教施設か否か、さらに固定資産税の賦課が妥当か否かが争われてきた事件で、寺院側が1審敗訴の後、控訴審が逆転判決、宗教施設に当たるから固定資産税の賦課は違法と判示して寺院側の主張を認めたのは今年1月の東京高裁判決(平成20年1月23日判決、平成18年(行コ)第112号)。この控訴審判決の内容を不服とした東京都は上告、最高裁での再逆転判決を狙ったが、最高裁(涌井紀夫裁判長)はこのほど上告受理申立てを棄却する決定を行ったことから、寺院側勝訴のまま事件は確定した。

 この事件は、江戸時代から動物供養の寺として知られる東京都内の寺院・回向院に対して東京都がペットの遺骨等を収蔵保管している建物とその敷地は民間業者が行う収益活動類似の性格を有する行為の用に供する資産であると認定、固定資産税等を賦課してきたため、寺院側がその取消しを求めて提訴していたもの。

 一審は東京都側の主張を認容して固定資産税等の賦課決定処分を適法と判断したものの、二審の控訴審は江戸時代から動物供養が行われ、地域住民からも信仰の対象とされてきたとその歴史的背景を踏まえて宗教施設に当たると判示、寺院側の主張を全面的に認める逆転判決を下した。そこで、控訴審の判決を不服とした東京都側が上告して再度、その妥当性を主張していたという事案だ。

 この事件では、宗教法人が専らその本来の用に供するために行う行為であるか否かをめぐる事実認定によるところが主になっていた事案だけに、憲法判断や法律解釈等の上告が認められる場合の民事訴訟法312条の要件を満たしていないという判断から上告受理申立てを棄却するという判断が働いたようだ。類似事案に影響を与える判例といえそうだ。

(平成20年7月17日棄却、平成20年(行ツ)第142号、平成20年(行ヒ)第157号)