売却代金の代理受領で滞納税の徴収は可能と判示
カテゴリ:06.地方税 裁決・判例
作成日:07/04/2006  提供元:21C・TFフォーラム



 特別土地保有税の徴収を怠って損害を与えたとして、自治体の住民が市長等に対して地方自治法に基づく「怠る事実」の違法確認請求と損害賠償を求めた事件で、大津地裁(稲葉重子裁判長)は土地の売却代金の代理受領で滞納徴税の相殺もできたと認定して怠る事実の確認請求の一部を認容、町長等に遅延損害金の支払いを命じる判決を言い渡した。

 この事件は、ゴルフ場開発を行う法人が特別土地保有税を滞納していたことを監査請求を通じて把握したことが発端になったもので、自治体が滞納法人から土地を購入した際に売買代金と滞納額を相殺するなどの方法によって滞納徴税を徴収すべきであったのに徴収義務を違法に怠っていたと住民が主張して怠る事実の確認を求めるとともに、町長等に損害賠償の責任を求めていたという事案だ。

 自治体側は、登記等の関係から売買代金全額と滞納徴税を相殺することができなかった事情等を理由に、法人が自主的に滞納徴税を納付することを期待して特別土地保有税の徴収を図ってきたことは、円滑な納税の確保という点に鑑みれば合理性を有する行為であり、裁量権を逸脱した違法なものとまでは言えないと主張して住民側の請求の棄却を求めていた。

 これに対して判決は、土地の売買代金の支払いがされた時点では、法人が滞納徴税の全額を任意に納付することが期待できたかについては相当の疑問があると示唆して、確実に滞納徴税を徴収できるように自治体に代理受領させなければならなかったと指摘。そうであれば、売買代金を代理受領して滞納徴税を徴収すべきであったのに違法にこれを怠ったと認定するのが相当と判示して、怠る事実と因果関係からその損害額を算定、遅延損害金の支払いを命じる判決を下している。

(2006.06.19 大津地裁判決、平成14年(行ウ)第12号)