受贈ゴルフ会員権の名義書換料は取得費に当たると逆転判決
カテゴリ:02.所得税 裁決・判例
作成日:02/14/2005  提供元:21C・TFフォーラム



 親から贈与されたゴルフ会員権の譲渡に伴う譲渡所得の計算をめぐって、受贈者(子)が支払った名義書換手数料が取得費に当たるか否かの判断が争われた事件で、最高裁(濱田邦夫裁判長)は取得費には該当しないと判断して納税者の主張を斥けた1、2審判決を取り消した上で、納税者の主張を全面的に認容する画期的な判決を下した。

 この事件は、親から子がゴルフ会員権の贈与を受けた際に、名義書換手数料を支払って正会員になったことがそもそもの発端になったもの。数年経過後、このゴルフ会員権を譲渡したもののバブル崩壊で譲渡損失が発生したため、事業所得と損益通算して申告したわけだが、その際、名義書換料を総合課税の長期譲渡所得に係る取得費に計上して申告したという事案だ。それだけ損益通算できる損失額が増えることになるからだ。

 ところが、原処分庁が従来の取扱いにそって取得費の計上を否認してきたため、その取消しを求めて提訴したところ、1、2審とも、名義書換手数料は保有資産の価値の増大をもたらす資本投下ではなく、設備費や改良費にも当たらないと指摘して納税者の主張を斥けたため、さらに上告して課税処分の取消しを求めていたというのが一連の流れだ。

 最高裁は昨年秋この上告申立てを受理、暮れに口頭弁論を開いた後、年明け後の2月1に判決を言い渡した。その結果、受贈者が支払った名義書換手数料はゴルフ会員権を取得するための付随費用にあたり、会員権の保有期間に係る増加益の計算の際には取得費として収入金額から控除される性格のものであると指摘、これまでの取扱いを全面的に否定するという画期的な逆転判決を下した。課税サイドは近々、この最高裁判決を受けて譲渡資産の付随費用に関するこれまでの取扱いに代わる新しい取扱いを公表する模様だ。

(2005.02.01 最高裁第三小法廷判決、平成13年(行ヒ)第276号)