特例の適用範囲は居住用と非居住用の敷地面積で按分された部分
カテゴリ:02.所得税 裁決・判例
作成日:11/24/2015  提供元:21C・TFフォーラム



 居住用土地建物と非居住用土地建物が一体利用されている土地をめぐり、居住用財産の譲渡所得の特別控除制度の適用範囲が争われた事件で国税不服審判所は、同特例が適用される部分は居住用土地及び非居住用土地の面積を基に按分した面積とすることが相当と判断して、納税者側の主張を斥けた。

 この事件は、審査請求人が、譲渡した土地に対して租税特別措置法35条(居住用財産の譲渡所得の特別控除)を適用して所得税の修正申告をした後、同特例の特別控除額の計算に誤りがあったとして更正の請求をしたのが発端。これに対して原処分庁が、更正をすべき理由がない旨の通知処分等をしてきたため、請求人側が同処分等の全部取消しを求めて審査請求したという事案である。

 つまり譲渡した土地のうち、同特例の適用対象となる居住用財産の範囲が争点になった事案だが、請求人側は居住用家屋に隣接する土地上にあった通路のうち4分の1に相当する部分にまで同特例の適用がある旨主張して、原処分の取消しを求めたわけだ。

 裁決はまず、同特例を定めた措置法35条1項が定める「居住の用に供している家屋の敷地」であるかどうかは、その土地等が家屋と一体として利用されている土地等であったかどうかにより判定するのが相当と解釈。その解釈に沿って通路の利用状況をみると、居住用家屋の他、通路に面している6棟の建物(空家)の出入りにも必要な土地であり、居住用家屋及び空家と一体利用された土地であると認められることから、通路のうち措置法35条1項が定める居住の用に供している家屋の敷地に該当する部分は、居住用家屋と空家に対応する部分で按分した居住用家屋に対応する部分とするのが合理的と判断した。

 つまり、請求人が主張する4分の1に相当する部分にまで適用があるとする主張は算定根拠が明らかでなく、それを裏付ける証拠もないと判断して斥けたわけだ。ただ、原処分庁と審判所の納税額の認定額の違いから、結果的に一部取消しという裁決になった。

(国税不服審判所2015.01.23裁決)