不整形地補正をしなくても固定資産評価基準に違反しないと判示
カテゴリ:06.地方税 裁決・判例
作成日:02/16/2016  提供元:21C・TFフォーラム



 固定資産税評価基準が定める不整形地の登録価格を算定する際に、不整形地補正及び奥行価格補正が必要か否かの判断が争われた事件で大阪地裁(西田隆裕裁判長)は、土地の地積、形状、利用状況に照らして宅地としての利用上の制約があるわけではなく、不整形地補正をしなかったことが固定資産評価基準に反するとも認められないと判示して、棄却した。

 この事件は、固定資産税課税台帳に登録された共有土地の自己の持分に係る登録価格を不服とした土地の共有者(納税者)が固定審査評価審査委員会に審査の申出をしたものの棄却されたことから、自己の主張額を超える部分の取消しを求めて提訴したという事案。

 登録価格の適否が争われた土地はマンションが建築された供用の土地で、台形状の土地を主要な部分とし、境界の中央付近から剣状の細長い部分(剣先部分)が突き出た土地であるものの、3000平方メートル弱の地積がある広大地であり、マンション等の建築等の土地利用に支障が生じることもなく、宅地としての利用制約があるということも認められなかった。

 そこで判決は、固定資産評価基準上の不整形地には当たるものの、3000平方メートルに近い地積を有し、剣先部分の土地全体に占める割合は2%未満であり、主要な部分もほぼ整形であると指摘した上で、剣先部分も緊急時の避難通路として利用され、生活排水等が埋設されたマンションの敷地として剣先部分も含めて一体的に利用されていると認定した。こうした事実関係から、土地の形状によってマンションの建築等の土地利用に支障が生じるとは認めがたく、宅地としての利用上の制約があるともいえないと指摘、結局、不整形地補正をしなかったことが固定資産評価基準に反するとまではいえないと判示した。

 さらに、奥行価格補正についても、近似の整形地についての評点数を求める方法を採用することが相当とした上で、奥行価格補正率を90%とした結果、登録価格が評価基準によって算定される持分の価格を超えていないと指摘して審査委員会の決定を適法と判示、訴えを棄却した。

(2015.08.05大阪地裁判決、平成25年(行ウ)第239号)