仲介手数料等は家屋の取得の対価を構成しないと裁決
カテゴリ:02.所得税 裁決・判例
作成日:06/22/1998  提供元:21C・TFフォーラム



 住宅の取得に要した仲介手数料等が、いわゆる住宅取得等特別控除の適用上、家屋の取得の対価に含まれるのか否かその是非が争われていた審査請求事案で、国税不服審判所は家屋と併せて同一の者から取得した家屋を含む構築物等の取得の対価には充てられていないと判断、請求人の主張を棄却する裁決を下した。
 この事案は、夫婦共同で取得した居住用家屋が借入金による取得だったため、住宅取得等特別控除を適用して還付申告したのが発端。その際、請求人は家屋の取得の対価に不動産仲介手数料、印紙代、不動産登記費用も含めて住宅取得等特別控除額を計算、還付請求したというわけだが、原処分庁がそれを一部否認する更正をしてきたことから、更正処分の全部取消しを求めて審査請求していたというケースだ。請求人は、仲介手数料等も家屋の取得に伴う経済的負担である以上、これを家屋の取得の対価に含めることが同特例の立法趣旨に沿い、社会通念上も是認し得るものであるから、仲介手数料等は家屋の取得の対価に含まれないとした更正処分には、法解釈に誤りがあると主張していた。
 しかし、審判所は更正処分の経緯や事実認定を踏まえ、同特例が求める居住用家屋の取得の対価とは支出した金額が居住用に係る構築物等の取得の対価に充てられることが一つの要件と解釈。その上で、仲介手数料等が家屋と併せて同一の者から取得した家屋等の対価に充てられていないこと、また家屋と仲介手数料等とが実質的に区分計算が困難であるとも認められないと指摘して原処分と同様に判断、請求を棄却している。しかし、社会通念上はどうであろう。取得の対価と受け止めるのが一般的ではないだろうか。
(東京国税不服審判所、1997.4.2裁決)