医療法人設立時の土地の寄附には当たらないと裁決、棄却
カテゴリ:01.法人税 裁決・判例
作成日:04/17/2012  提供元:21C・TFフォーラム



 定款変更によって持分の定めのない医療法人に組織変更した法人が寄附を受けた土地が、医療法人の設立の際に贈与を受けた資産の価額に該当するか否かの判断が争われた審査請求事件で、国税不服審判所は、医療法施行規則に基づく定款変更による組織変更は従前の医療法人の解散、清算に係る各手続きを経た上で新たに設立されたものではないと指摘、医療法人設立の際に贈与された資産には当たらないと判断して、審査請求を棄却した。

 この事件は、医療法人(審査請求人)に寄附された土地に対し、寄附のあった事業年度の所得金額の計算上、益金に算入されると原処分庁が判断して更正処分等を行ったのが発端になったもので、請求人が、定款変更によって持分の定めのある法人から持分の定めのない法人に組織変更した際に贈与を受けたものであり、益金不算入規定(法令136の4)の適用を受けると主張して、原処分の取消しを求めたもの。

 定款変更して組織変更した請求人が寄附を受けた土地の価額が、医療法人の設立の際に贈与等を受けた資産の価額に該当するか否かの判定が争点になった事案である。というのも、同条は「医療法人がその設立について贈与又は遺贈を受けた金銭の額又は金銭以外の資産の価額は、その医療法人の各事業年度の所得の金額の計算上、益金の額には算入しない」旨定めているからだ。

 これに対して裁決は、法人税法施行令136条の4の趣旨を解釈した上で、請求人は医療法施行規則に基づいて、定款変更の方法で持分の定めのない医療法人へ組織変更したものであり、従前の医療法人の解散、清算の手続きを経た上で新たに設立されたものではないから、法人税法施行令136条の4の規定を外れると指摘。つまり、無償による資産の譲受けに該当すると判断したわけだ。ただ、審判所認定の土地の価額は原処分庁の認定額を下回ったことから、一部取消しという結果になっている。

(国税不服審判所、2011.05.30裁決)