競売で一括取得の土地建物は固定資産税評価額の比率で按分
カテゴリ:01.法人税 裁決・判例
作成日:04/05/2016  提供元:21C・TFフォーラム



 競売によって一括取得した土地建物の取得価額、取得価額の算出方法が争われた事件で、国税不服審判所は固定資産税評価額の比率による按分が相当であると判断して請求を棄却する一方で、原処分庁の計算方法の誤りを認定、一部取消しの裁決を言い渡した。

 この事件は、審査請求人が、競売により一括取得した土地建物について、落札金額を路線価及び類似建物の価額などで按分して算出した取得価額を基に法人税の減価償却費及び消費税の課税仕入れに係る支払対価を計算してした申告に対し、原処分庁が建物等の取得価額は固定資産税評価額による土地と建物等の評価額の比率に基づいて算出すべきであるとして法人税並びに消費税及び地方消費税の更正処分等を行ってきたのが発端。

 そこで請求人が、不動産鑑定士の鑑定評価による土地と建物の評価額の比率によるべきであると主張して、原処分の一部取消しを求めて審査請求したという事案である。つまり請求人側は、不動産鑑定士の鑑定評価における土地と建物等の評価額の比率によって按分し、法人税に係る建物等の減価償却費の額を計算すべきである旨主張して、取消しを求めたわけだ。

 これに対して裁決は、鑑定評価額による按分法も一応合理性が認められる方法であるところ、請求人が用いた不動産鑑定士の評価額の計算が建物と構造の異なる建物に基づく査定を行っているなど必ずしも合理性のある算出方法となっていないと指摘する一方、原処分庁が用いた土地及び家屋の固定資産税評価額はいずれも同一の評価機関により算定されたもので、かつ同一時期の時価を反映しているものであることから合理性があると指摘して、固定資産税評価額の比率による按分が相当と判断した。

 しかし、原処分庁の固定資産税評価額の比率による按分は、建物に設置されたディスプレイ設備に係る固定資産税評価額に相当する額が含まれていないため、計算に誤りがあると指摘、結果的に一部取消しという裁決結果になった。

(国税不服審判所2015.06.01裁決)