源泉税を計算する際の控除額は各集計期間の全日数で計算
カテゴリ:02.所得税 裁決・判例
作成日:03/09/2010  提供元:21C・TFフォーラム



 報酬に係る源泉所得税額の計算をする際の控除額は報酬の各集計期間の全日数を乗じて計算するのか、それとも実際の出勤日数を乗じて計算した金額にとどまるのかその判断が争われた事件で、最高裁(田原睦夫裁判長)は報酬の支払期間に含まれるすべての日数を指すと解釈、原審の判決内容を破棄した上で、原審に差戻しを命じる判決を言い渡した。

 この事件は、パブクラブを経営する納税者らが、ホステスに対して半月ごとに支払う報酬に係る源泉所得税の納付の際に、報酬から所得税法施行令322条が定める控除額の5000円に半月間の全日数を乗じて計算した金額を控除して源泉所得税額を計算していたところ、原処分庁がホステスの実際の出勤日数を乗じて計算した金額にとどまるとして申告内容を否認、上告人らの納付額と原処分庁が計算した源泉所得税額の差額に納税告知処分及び不納付加算税の賦課決定処分をしてきたため、その取消しを求めたことが発端。

 しかし、一審、二審とも原処分の計算方法を妥当と判断して原処分の取消請求を棄却したことから、パブクラブ経営者らが上告の上、さらにその取消しを求めていた事案だ。

 これに対して最高際は事実関係を認定した上で、ホステスの報酬額が一定の期間ごとに計算されて支払われている場合は、所得税法施行令322条が定めるその「支払金額の計算期間の日数」はホステスが実際に稼働した日数ではなく、一定の支払期間に含まれるすべての日数つまり報酬の各集計期間の全日数になると解するのが相当と判示。その結果、原審の判断には判決に影響を及ぼすことが明らかな法令違反があるとして原審の判断を破棄するとともに、上告人らが納付すべき源泉所得税額及び不納付加算税額を算定させるため、原審に差戻しを命じる判決を言い渡した。

(2010.03.02 最高裁第三小法廷判決、平成19年(行ヒ)第105号)