建物附属設備の除却損は建物が売却された事業年度の損金
カテゴリ:01.法人税 裁決・判例
作成日:07/05/2016  提供元:21C・TFフォーラム



 建物附属設備の除却損がその建物附属設備に係る建物が売却された日の属する事業年度の損金の額に算入されるか否かの判断が争われた事件で国税不服審判所は、建物が売却された日に所有権を放棄し、処分を委ねたものと認められると判断、原処分を全部取り消す裁決を言い渡した。

 この事件は、エステティックサロンを営む審査請求人が、固定資産を除却したことから固定資産の除却損の額を損金の額に算入して、その建物を売却した事業年度に係る法人税の申告をしたのが発端になったもの。

 この申告に対して原処分庁が、建物附属設備は除却損を計上した事業年度の前の事業年度において、建物の売却とともに売却されていることから、除却損を請求人が損金に計上した事業年度に計上することはできないという判断から否認して、法人税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分を行ってきたことから、これを不服とした請求人が原処分の全部取消しを求めて審査請求したという事案である。

 つまり、建物附属設備の2階改装部分は請求人が別件の建物を売却した際に売却されていることからから、除却損の額を法人側が売却したという事業年度の損金の額に算入することはできないとして否認してきたわけだ。

 しかしながら裁決は、建物附属設備は売却損を計上した建物とは別の建物の造作であり、除却損の額を損金に算入して申告した事業年度において、建物が売却された日に、請求人がその所有権を放棄しかつ処分を委ねたものと認められるという認定の下に、除却損は、法人側が求める事業年度の損金の額に算入することができると判断して、原処分を全部取り消している。

(2015.11.30国税不服審判所裁決)