リベートの法人帰属を否定、青申取消処分等は違法と判示
カテゴリ:02.所得税 裁決・判例
作成日:04/10/2012  提供元:21C・TFフォーラム



 従業員らが関係業者から受領したリベートを法人の雑収入として計上しなかったことが隠ぺい又は仮装に当たると判断して行われた青色申告承認取消処分の適否が争われた事件で仙台地裁(関口剛弘裁判長)は、リベートの受領禁止に関する体制等から判断すれば、リベートに係る収益は法人ではなく従業員ら個人に帰属すると認定した上で、青色申告承認取消処分、更正処分等には違法があると判示、原処分の取消請求をいずれも認容する判決を言い渡した。

 この事件は、6事業年度にわたって従業員らが関係業者から受領した9000万円超のリベートを法人が雑収入科目に計上しなかったことを理由に、原処分庁が青色申告承認取消処分及び重加算税の更正処分等をしてきたため、法人側がリベートは従業員ら個人に帰属するものであり、隠ぺい又は仮装を行った事実もないと主張して、原処分の取消しを求めた事案だ。

 つまり、従業員らが関係業者から受領したリベートが法人に帰属するか否か、帰属するとすれば雑収入に計上しなかったことに隠ぺい又は仮装があったか否かが争点になっていたわけだ。

 判決は事実関係を精査した上で、リベートを受領した従業員らの法律上の地位、権限について検討するとともに、従業員らは単なる名義人で、実質的には法人側がリベートを受領していたと見ることができるか否かを検討することが相当と指摘。その結果、従業員らが個人としての法的地位に基づき関係業者からリベートを自ら受け取って、自己の判断で受領した金員を費消しており、従業員らが単なる名義人としてリベートを受領していたとは認め難いと認定、リベートに係る収益は法人に帰属するとは認められないという判断をした。

 結局、リベートに係る収益は法人に帰属するとは認められず、従業員らに対して損害賠償請求権を有しない結果、法人側にリベート相当額の益金等も存在しないことになるから、青色申告承認取消処分、更正処分等には取消事由となる違法があると判示、国側の主張を斥けた。

(2012.02.29 仙台地裁判決、平成21年(行ウ)第33号)