バミューダ諸島のLPSは日本の租税法上の法人の範囲外
カテゴリ:01.法人税 裁決・判例
作成日:12/18/2012  提供元:21C・TFフォーラム



 バミューダ諸島の法令に準拠して組成されたリミテッドパートナーシップ(LPS)が日本の租税法上の法人に該当するか否かの判断が争われた事件で東京地裁(川神裕裁判長)は、設立・組織・運営及び管理等に着目し、経済的・実質的にも我が国の法人と同様に損益の帰属すべき主体として設立が認められたものといえないと判示、原処分を取り消した。

 この事件は、英国領バミューダ諸島で組成されたLPSでかつ特例パートナーシップ(EPS)である日本法人が、国内源泉所得である匿名組合契約に基づく利益分配金に係る法人税が無申告と認定され、法人税の決定及び無申告加算税の賦課決定処分を受けたのが発端。

 そこで、利益分配金を受領した事実はないと主張して納税義務が存在しない旨の確認を求めたもので、バミューダ諸島で組成されたLPSが我が国の租税法上の法人に該当するか否かが争点になった。原処分庁側は、LPSが1)独自の財産を有し、2)契約を締結して権利帰属の主体となり、3)その権利義務のために訴訟当事者となり得るという解釈から、我が国の租税法上の法人に該当すると主張してきた。

 これに対して判決は、バミューダ諸島で組成されたLPSが我が国の租税法上の法人に該当するか否かについて、経済的・実質的にもパートナー間の契約関係を本質として、その事業の損益をパートナーに直接帰属させることを目的するものであるといわざるを得ないと認定。その上で、バミューダ法が定めるLPSの設立、組織、運営及び管理等の内容に着目して経済的、実質的に見ても、明らかに我が国の法人と同様に損益の帰属すべき主体として設立が認められたものであるとは言えないと判断して、課税当局側の主張を斥けている。

(東京地裁平成24年8月30日判決、平成23年(行ウ)第123号)。