会員から収受した金員の一部は資産の譲渡等に該当しないと判示
カテゴリ:03.消費税 裁決・判例
作成日:09/16/2014  提供元:21C・TFフォーラム



 破産した会員制リゾートクラブが会員から入会時に収受した金員の一部が、消費税法上の課税資産の譲渡等の対価に該当するか否かの判断が争われた事件で東京地裁(村田一広裁判長)は、宿泊ポイントの対価として収受される物品切手等に該当することから、資産等の譲渡には該当しないと判断、破産管財人による更正処分の取消請求を認容した。

 この事件は、破産したリゾート施設会員組織の運営・管理・販売等を行う会員制リゾートクラブに対して、原処分庁がクラブの会員から入会時に収受した金員の一部(預託金として返還される予定の金員を除いた残りの部分)は課税資産の譲渡等の対価に該当すると認定、消費税等の更正処分等をしてきたことから、破産管財人(弁護士)が金員の収受は不課税取引であると主張、更正処分等の取消しを求めて提訴したという事案。

 会員には入会時に宿泊ポイントが付与され、宿泊ポイントに応じて破産会社が契約していたホテルに宿泊ができるという性格のものだったため、原処分庁は入会時に収受した金員の一部は会員制リゾートクラブの会員資格の付与という破産会社からの役務提供に対する対価として支払われたものという判断から、資産の譲渡等に該当するという主張を展開した。

 しかし判決は、入会時に収受した宿泊ポイント部分の金員の性格は会員及び破産会社を規律する入会契約時の解釈によると指摘。その上で、契約書の内容を検討すると、ホテルの使用料は宿泊ポイントを用いて支払われ、入会時の費用を払い込めば5年間にわたって新たな支出をせずに、ホテルを使用することができることから、宿泊ポイントの対価と解釈することに特段不自然、不合理な点はないと判断するとともに、宿泊ポイントはカードないしチケットに表彰され、そのポイントと引換えに宿泊サービス等が受けられ、かつ宿泊サービス等に伴う対価の支払債務を負担しないから、物品切手等に該当すると認定した。その結果、資産等の譲渡には該当しないと判示して、破産管財人側の請求を認容している。

(2014.02.18東京地裁判決、平成25年(行ウ)第23号)