破産財団・破産管財人に消費税の納税義務はないと判示
カテゴリ:03.消費税 裁決・判例
作成日:11/27/2007  提供元:21C・TFフォーラム



 破産財団に係る消費税の納税義務の有無が争われた事件で福井地裁(小林克美裁判長)は、破産財団は破産者(法人)とは別の新規事業者であり、破産管財人ともども消費税の納税義務を負う必要はないと判示、破産管財人の主張を全面的に認容する判決を下した。

 この事件は、原処分庁が破産処理を進める破産財団に対して、消費税の決定処分とともに無申告加算税の賦課決定処分をしてきたため、破産管財人がその取消しを求めていた事案。つまり、破産財団と破産者は法的主体が別であるから、破産者の課税期間に係る基準期間の課税売上高を引き継がず、破産宣告後2年間は基準期間がないため納税義務も負わないと主張していた。

 また原処分庁は、破産法や消費税法の関係規定の構造、文言、趣旨から破産財団が破産者と別個独立の法人でないことは明らかなため、破産財団に属する財産の換価処分の効果は破産者に帰属すると反論、課税処分の適法性を主張していた。

 これに対して判決はまず、破産法だけでなく租税法と破産手続きの調和という見地から検討が必要と述べるとともに、消費税法との関係においては破産財団が人格のない社団として事業者に当たると解釈できる余地があると示唆した。

 また、最高裁昭和44年6月26日、同44年11月4日判決に照らして破産財団の実態を判断すれば、破産財団は権利能力なき社団となり、消費税法上の人格のない社団に当たると解釈できるとともに、破産者に残余財産が交付されるのは極めて稀という実状からも、破産法人を事業者とみるのは相当ではなく、破産財団を事業者とみるのが相当と解釈した。

 結局、破産財団は破産会社とは別個の人格のない社団であり、課税期間に係る基準期間がないのであるから、破産財団に消費税の納税義務はないと判示している。判決内容を不服として国側は控訴している。

(2007.09.12福井地裁判決、平成17年(行ウ)第5号)