課税資産の譲渡とその他の資産の譲渡等に共通すると判断、棄却
カテゴリ:03.消費税 裁決・判例
作成日:09/17/2013  提供元:21C・TFフォーラム



 被合併会社のマンション取得が、課税資産の譲渡等にのみ要するものと課税資産の譲渡等とその他の資産の譲渡等に共通して要するもののいずれに区分されるかの判断が争われた事件でさいたま地裁(脇由岐裁判長)は、マンションの販売と住宅貸付けを目的に課税仕入れの日に取得したことは明らかと認定、課税資産の譲渡等とその他の資産の譲渡等に共通して要するものに該当すると判断して、合併法人側の請求を棄却した。

 この事件は、吸収合併された会社のマンション取得に対して消費税等の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分を受けたことから、合併法人側が個別対応方式に基づく課税仕入税額分が控除されていないと主張してその一部取消しを求めたもの。

 つまり、被合併法人が請負契約に基づく居住用マンションの取得後、信託受益権売買契約を締結したものの締結先の破産で契約が解除されたため、一部を居住用として賃貸する一方で売却契約成立後に吸収合併されたことを受け、被合併法人の課税売上割合が95%未満だったことを理由に合併法人側が還付請求をしたところ、原処分庁がこれを否認、更正処分の上、過少申告加算税の賦課決定処分をしてきたため、その一部取消しを求めたという事案である。

 判決は、事実関係を整理した上で、課税資産の譲渡等にのみ要するものは直接・間接を問わず、また実際に使用する時期も問わず、対価の額が最終的に課税資産の譲渡等のコストに入る課税仕入れ等だけをいうため、課税仕入れとなるマンションの取得日が資産の譲受けの日と同日になると指摘。つまり、マンション取得の用途区分は、同日の状況に基づいて客観的に判断すべきだという解釈をしたわけだ。

 結局、課税仕入れの日におけるマンションの取得は、マンションの販売(信託受益権の譲渡)とともに、住宅としての貸付けも目的にされていたものであるから、「課税資産の譲渡等とその他の資産の譲渡等に共通して要するもの」に該当すると判断して、合併法人側の請求を棄却している。

(2013.06.26さいたま地裁判決、平成23年(行ウ)第33号)。