国内での海外旅行者への役務提供は輸出免税の対象外
カテゴリ:03.消費税 裁決・判例
作成日:11/18/2014  提供元:21C・TFフォーラム



 海外の旅行者が国内で提供を受ける飲食等の対価相当部分が輸出免税になるか否かの判断が争われた事件で国税不服審判所は、海外の旅行会社から受領する対価には国内で便益を享受する飲食、宿泊、輸送等に係る役務提供対価が含まれているものの、海外の旅行者が直接便益を享受するものは輸出免税の対象からは除かれると判断、審査請求を棄却した。

 この事件は、旅行業を営む審査請求人が、日本旅行を主催する海外旅行会社に国内旅行部分をパッケージツアーとして提供した対価の全額が輸出免税取引に該当すると判断、更正の請求等をしたのが発端。これに対して原処分庁が、更正すべき理由がない旨の通知処分等をしてきたため、その全部取消しを求めて審査請求したもの。

 請求人は、訪日旅行を主催する海外の旅行会社に提供した旅行の企画、手配等に加え、旅行者が国内で提供される飲食、宿泊、輸送等のサービスを受ける地位を包括的に設定した役務提供には飲食、宿泊、輸送等の役務提供部分は含まれておらず、海外旅行会社は国外でその地位の設定を受け、訪日旅行販売の便益も国外で享受しているため、輸出免税に該当すると主張した。

 しかし裁決は、海外旅行会社から受領する対価には、旅行者が直接便益を享受する飲食、宿泊、輸送等の役務提供に係る対価が含まれているものの、国内で飲食、宿泊、輸送等の直接便益を享受したものは輸出免税の対象から除かれると指摘。また、海外旅行会社が請求人から提供を受ける包括的な役務を考慮しても、旅行者への各種サービスの提供は海外旅行会社に対する役務の提供とみるのが適当であるから、飲食、宿泊、輸送等の役務提供の対価相当額は輸出免税取引の対価には該当しないと判断して、審査請求を棄却している。

(国税不服審判所、2013.11.27裁決)