役員に対する見舞金は入院1回あたり5万円が相当と判断
カテゴリ:01.法人税 裁決・判例
作成日:07/14/2003  提供元:21C・TFフォーラム



 取締役会長に支払った役員報酬と役員退職給与が高額か否か、また入院中に支払った見舞金が福利厚生費にあたるか否かが争われていた審査請求事案で、国税不服審判所は類似法人の支給状況と比準しても不相当に高額ではないと請求を認める一方、見舞金については類似法人に比べて5万円を超える部分の金額は賞与にあたると認定する裁決を下した。

 この事案は、建築工事業を営む同族会社が取締役会長に支払った報酬、退職給与の額が過大か否か、また見舞金が賞与等に該当するか否かが争点になったもの。

 原処分庁は、取締役会長が長期入院のため通常の勤務ができなかったことを理由に非常勤取締役にあたると判断するとともに、類似法人と比準すれば適正報酬額は50万円となることから、それを超える額は不相当に高額な報酬にあたると認定。その結果、適正報酬額をベースに算定した額を超える部分は過大な役員退職金の支給にあたるほか、さらに見舞金も役員賞与にあたると認定、過少申告加算税の賦課決定処分、納税告知処分等をしてきたため、審査請求人である同族会社がその取消しを求めて審査請求していた事案だ。

 裁決は、取締役会長は入退院を繰り返していたものの、相当程度の頻度で職務に従事していたことから常勤の取締役会長と認められ、また類似法人の役員報酬の支給状況に比較しても不相当に高額であるとは認められないと判断、原処分庁の主張を斥けている。しかし、見舞金については類似法人の支給状況を比準の上、福利厚生費としての見舞金の上限は入院1回あたり5万円が相当と認定、その額を超える部分については取締役会長に対する賞与に該当すると認定、請求人の主張を斥ける裁決を下している

(国税不服審判所、2002.06.13裁決)