「梶原私案」9兆円規模の税源移譲を要求
カテゴリ:06.地方税 トピック
作成日:10/20/2003  提供元:21C・TFフォーラム



 全国知事会会長の梶原拓・岐阜県知事が7日、三位一体改革に向けた「私案」を発表した。現在、国から地方へ20兆円規模で財政移転されている国庫補助負担金のうち約9兆円分を廃止し、事業を地方が引き継ぐものについてそれに見合う税源を地方へ移譲することなどが柱。分権推進の立場から「税源なくして削減なし」をスローガンに掲げ、税源移譲を先送りせず補助金廃止と一体的に行うべきだとしている。予算編成過程で各省庁の抵抗が続くなか、改革の骨抜き阻止が目的だ。

 具体案としては、所得税から個人住民税へ3兆円、消費税から地方消費税へ5兆円(2%相当分)、揮発油税から1兆円、合わせて9兆円の移譲を国に求めている。

 政府は今年6月の「骨太方針2003」で「改革と展望」の期間中(2004~2006年)に補助金・地方交付税・税源移譲を一体的に改革することを明記。徹底した行革・歳出削減努力をしたうえで、4兆円規模の補助金削減とそれに見合う義務的経費については10割、それ以外は8割とする基幹税による税源移譲を打ち出していた。

 また、地方6団体(全国知事会、全国都道府県議会議長会、全国市長会、全国市議会議長会、全国町村会、全国町村議会議長会)は16日、「梶原私案」を軸に、補助金廃止と税源移譲先送りという地方財政への負担転嫁を断じて許さないとする「地方分権の推進のための結束強化に関する共同声明」を発表、これまで一枚岩ではないといわれてきた地方が結束して改革の果実を求める姿勢を示した。中央省庁への牽制と同時に、11月9日投票の総選挙に向けて、各政党に圧力をかけるねらいがある。