国税庁、推計課税に拡大要望
カテゴリ:05.相続・贈与税, 12.国税庁関係 トピック
作成日:02/20/2014  提供元:21C・TFフォーラム



 「推計課税」を拡大させようという動きが出ている。推計課税とは、納税者の生活状況や財産債務の増減、収支の状況、生産量、従業員数、同業他社との比較――といった客観的な資料情報から所得金額を「推計」し、金額を決定すること。現在この推計課税が認められているのは、法人税と所得税のみだが、これを相続税にも広げようという動きが国税庁から出ているという。

 国税庁が独自の意見書として財務省に提出した内容は、「相続開始以前の一定期間中に、被相続人の財産を処分または被相続人が債務を負担したもので、その使途が客観的に明白でなく、かつ、その合計額が一定金額以上となる場合には、これを相続人が相続したものと推定し、相続税の課税価格に算入する制度を創設する」というもの。モデルとなっているのはお隣韓国の成功例だ。

 韓国にはすでに相続税の推計課税制度が存在する。被相続人が相続開始前にその財産を処分または債務を負担した場合で、一定のケースに該当するときは、相続したものと推定して相続税の課税価格に算入するという内容。日本も、韓国の「期間」と「金額」で対象を絞り込んだ推計課税を取り入れたいようだ。

 相続税の推計課税は国税庁が平成24年から3年越しで要望しているというが、平成26年度税制改正大綱にも載ってこなかった。しかし、相続税への課税が強化路線にある中で国税庁が簡単に諦めるとは考えにくく、平成27年度税制改正でさらに強気の要望を載せてくる可能性は高い。今後の動きに注目しておく必要がある。