国税庁、タワーマンション節税への監視強化
カテゴリ:05.相続・贈与税 トピック
作成日:11/05/2015  提供元:21C・TFフォーラム



 近年、都市部を中心にタワーマンションの建設ラッシュが続いているが、ここへきてタワーマンションを利用した相続税の過度な節税に国税庁が監視の目を強めている。

 分譲マンションの相続税評価額は、タワーマンションになるほど市場価額との乖離が大きくなりがちだ。土地は敷地全体を戸数で割って評価するため、高層で戸数が多いほど一戸当たりの持ち分は少なくなる。また、建物の相続税評価は固定資産税評価と同じ。市場価額に反映される「眺望」などのメリットは加味されないため、同じ間取り、同じ広さであれば低層階も高層階も同じ評価額になる。

 タワーマンションの高層階になるほど市場価額との乖離が大きくなるということで、相続税対策としてタワーマンションを購入する富裕層が増えているという。相続後、すぐ売却して現金化するケースもある。

 国税庁は、このようなタワーマンションを利用した過度の節税が増えている事態を問題視し、さきごろ全国の国税局に対して監視強化するよう指示を出したという。

 相続税評価額と市場価額の差が大きい物件で、相続後すぐに売却されたケースなどは、行き過ぎた節税とみなされて市場価額に引き戻して追徴課税される可能性がある。ただし、現時点ではどのようなケースが「行き過ぎ」とみなされるかの判断基準が明らかにされていない。今後の国税庁の出方に注目が集まる。