企業の9割超が認識も進まないマイナンバー制度への対応
カテゴリ:16.その他 トピック
作成日:05/25/2015  提供元:21C・TFフォーラム



 今年10月から全国民へマイナンバーの通知が開始されるが、帝国データバンクが4月後半に実施した「マイナンバー制度に対する企業の意識調査」結果(有効回答数1万720社)によると、マイナンバー制度に対する認知について、「内容も含めて知っている」とした企業は43.5%にとどまった。「言葉だけ知っている」企業が52.4%と半数超にのぼるものの、企業の9割超は何らかの形でマイナンバー制度に対する認識を持っていた。

 「内容も含めて知っている」企業を従業員数別にみると、概ね従業員数が多くなるにしたがって、認知度も高くなる傾向がある。特に、従業員数が1000人超の企業では64.2%がマイナンバー制度を内容まで知っている。他方、従業員数が20人以下の企業では3割台(「6~20人」37.0%、「5人以下」32.1%)にとどまり、規模の小さい企業において制度の理解が進んでいない様子がうかがえる。

 自社におけるマイナンバー制度への対応状況については、「対応は完了した」という企業はわずか0.4%で、対応を検討・進めているとした「対応中」(18.7%)の企業を合わせても2割に届かない。また、「予定はあるが、何もしていない」企業が62.0%にのぼっており、マイナンバー制度について多くの企業は認識を持っているにもかかわらず、対応が進んでいない実態が浮き彫りとなった。

 マイナンバー制度への対応の具体的内容(複数回答)は、「給与システム(源泉徴収票等)の更新」が49.9%で最多、次いで、「社会保障関係書類(社会保険、健康保険等)の更新」(30.9%)、「基本方針・取扱規程等の策定」(30.4%)が3割台で続き、情報管理の重要項目に挙がる「情報セキュリティの整備(情報漏洩防止等)」は26.2%と、現状でセキュリティに対して具体的に取り組んでいる企業は4社に1社にとどまっている。

 制度対応による想定コスト負担額は、「10万円以上50万円未満」が21.3%、以下、「50万円以上100万円未満」(16.9%)、「100万円以上」(14.6%)が続き、1社当たりの平均コスト負担額は約109万円と推計される。従業員数別にみると、従業員数が「5人以下」(48万円)、「6~20人」(46万円)では40万円台の一方、「1000人超」(581万円)となる大手企業では平均で600万円近い負担を想定している。

 法人番号制度に対する認知については、「内容も含めて知っている」と回答した企業は20.7%にとどまった。他方、「知らなかった」企業が37.7%で約4割に達しており、法人番号制度に対する認識は広がっていないことが明らかとなった。「知らなかった」企業を従業員数別にみると、概ね従業員数が少ない企業で高く、特に、従業員数が「5人以下」の企業では50.9%と半数超が法人番号制度の存在自体を認識していなかった。

 同意識調査結果はこちら