国税庁、種類株式の相続税等の評価を明確化
カテゴリ:05.相続・贈与税 トピック
作成日:03/19/2007  提供元:21C・TFフォーラム



 国税庁は16日、相続や贈与などによって取得した種類株式の評価方法を公表した。平成18年5月に施行された会社法により多種多様の種類株式の発行が認められるようになったが、その相続税法上の評価方法が不明確なことから、中小企業の事業承継における活用が進まないとの指摘があった。そこで今回、経済産業省が国税庁に照会し、同庁が文書回答という形で種類株式の評価方法を明確化したものだ。

 中小企業の事業承継において活用が期待されている種類株式としては、1)配当優先の無議決権株式、2)社債類似株式、3)拒否権付株式の3類型が典型的と想定されている。

 まず、配当優先の無議決権株式の評価については、原則として、議決権の有無を考慮せずに普通株式と同様に評価することになるが、一定条件をすべて満たす場合に限り、普通株式評価額から5%を評価減するとともに、評価減した分を議決権株式に加算(調整計算)して申告することを選択できることにした。無議決権株式の5%評価減を選択した者がいても、相続人全体の相続税評価額は不変ということが前提となる。

 一定条件とは、相続税の法定申告期限までに遺産分割協議が確定していることや、無議決権株を5%評価減するとともに調整計算して申告することについての届出書が所轄税務署長に提出されていること、申告にあたり「取引相場のない株式の評価明細書」に、所定の算式に基づく無議決権株式・議決権株式のある株式の評価額の算定根拠を適宜の様式に記載し、添付していることのすべてを満たすことである。

 一定条件を満たす株式(社債類似株式)については、その経済的実質が社債に類似していることから、発行価額により評価するが、株式であることから、既経過利息相当分の配当金の加算は行わない。一定条件は、1)配当金は優先して分配、2)残余財産分配は発行価額が上限、3)一定期日において発行会社が株式の全部を発行価額で償還、4)議決権を有しない、5)他の株式を対価とする取得請求権を有しない、とされる。

 また、拒否権付株式については、拒否権を考慮せず、普通株式と同様に評価することとされている。