「130万円の壁」解消で経済効果7000億円と試算
カテゴリ:16.その他 トピック
作成日:12/01/2015  提供元:21C・TFフォーラム



 11月27日に開かれた経済財政諮問会議において民間議員が提出した資料では、女性の就労調整の是正により「130万円の壁」などが解消した場合、約7000億円の経済効果があるとの試算を明らかにした。平成28年度税制改正に向けて、女性の活躍推進を制約する要因の一つとして指摘されている、特にパートタイマーが自ら就業調整する要因であるいわゆる「103万円・130万円の壁」の是正が検討されているが、

 「103万円の壁」は、妻の所得が103万円を超えると、夫の所得税課税額が増え始めることから、妻の所得を103万円に抑えるインセンティブが生じる。また、「130万円の壁」は、妻の所得が130万円を超えると、社会保険(厚生年金、健康保険)の保険料負担によって急激な手取り額の減少が生じることから、社会保険料負担を発生させないように労働時間を調整することが多いとみられている。

 民間議員は、年収100万円の主婦等のパート労働者100万人が年収150万円を稼いだ場合、本人負担は、社会保険料が0円から約20万円に、税が0円から約6万円に、可処分所得が100万円から約124万円にそれぞれ増えることから、社会的利益が、社会保険料(本人、事業主計)が約4000億円、税収が約600億円、可処分所得が約2400億円の計7000億円に拡大すると試算している。

 一方、労働力人口確保のためのもう一つのフロンティアである「高齢者」にも、就労抑制につながる仕組みが存在する。そこで同様に、年収100万円の60歳~65歳未満のパート労働者50万人がフルタイムで年収240万円を稼いだ場合の社会的利益は、社会保険料約2600億円、税収約500億円、年金給付、高年齢雇用継続給付約300億円、可処分所得約5300億円の計9000億円になるとの試算も示している。

 民間議員は、アベノミクス第二ステージのマクロ経済運営上の重点課題として、600兆円経済の実現に向けた取組みの本格化のため、「女性や高齢者の就労の壁(配偶者手当、社会保険等に伴ういわゆる103万円、130万円の壁)は、個人が所得を得る機会を減らすだけでなく、それを大きく上回る社会的損失をもたらす。就労の壁について早期に対応方針を打ち出すべき」と要望している。

 民間議員の提出資料はこちら