同一の監査人による監査期間を開示へ~「日本再興戦略2016」(案)
カテゴリ:14.各省庁関係 トピック
作成日:05/27/2016  提供元:21C・TFフォーラム



 政府が5月19日に開催した産業競争力会議(第27回)では、「日本再興戦略 2016」(素案)が示され、「コーポレートガバナンス改革による企業価値の向上」策の一環として「情報開示、会計基準及び会計監査の質の向上」が謳われている。なかでも「会計監査」については、金融庁の「会計監査の在り方に関する懇談会」提言を踏まえ、監査法人のガバナンス・コードなどの取組が進められる。

 ここで注目したいのが、「会計監査に関する株主等への情報提供」の充実。すなわち、「監査人の選解任に係る株主の判断が適切に行われるよう、企業が同一の監査人による監査を受けてきた期間など、企業等による会計監査に関する開示を充実させる」措置だ。“東芝事件”の原因の一つが「監査チームの構成メンバーが、長期間にわたり東芝や東芝の子会社の監査を担当した者が中心」だったことから、「監査人の独立性を評価するにあたっては、当該監査人がその企業の監査に従事してきた期間などは重要な情報」と位置づけ。有価証券報告書での開示が考えられている。

 なお、この6月株主総会で「公認会計士等の異動」を公表(適時開示)した上場会社には、その理由として「現会計監査人の継続監査年数を考慮し」た旨の記載が散見された。日本通信(株)に至っては、「企業と監査法人とは一定の緊張関係を持ち続けることが重要であるという観点から、本来であればグローバルスタンダードである5年から7年を目処に監査法人の交代を行うことが適切であると考えています。しかしながら、適格な監査法人及び公認会計士の数が不足している日本においては、その通りに実践することは難しいのが現状です。しかし、どんなに長くても9年を超えることは異常な状況であると考えており、従って、当社は、過年度においても9年を上限に監査法人の交代を行ってきました~」と開示している。

 「日本再興戦略 2016」(素案)の詳細はこちらを参照のこと。