留意したい、適用効果が出るのが数年先の改正項目!
カテゴリ:02.所得税 トピック
作成日:04/27/2016  提供元:21C・TFフォーラム



 毎年度行われる税制改正の適用期日はその年の4月からとなるものが多いが、なかにはその適用効果が出るのが数年先というものもある。その一つに、「土地等の長期譲渡所得の1000万円の特別控除」がある。平成21年度税制改正で創設されたもので、平成21年及び22年に取得した土地の将来譲渡益に係る1000万円特別控除である。その適用効果が表れるのがちょうど昨年及び今年からとなるので、改めて留意しておきたい。

 同制度は、個人が、平成21年1月1日から22年12月31日までの間に取得した国内にある土地等で、その年の1月1日において所有期間が5年を超えるものの譲渡をした場合には、つまり、21年取得なら27年以降、22年取得なら28年以降に譲渡した場合には、その土地等に係る長期譲渡所得の金額から1000万円を控除することができるという制度だ。

 ただし、1)親族など特別な間柄にある者から取得した土地等である場合、2)相続、遺贈、贈与、交換、代物弁済及び所有権移転外リース取引により取得した土地等である場合、3)譲渡した土地等について、収用等の場合の特別控除や事業用資産を買い換えた場合の課税の繰延べなど他の譲渡所得の特例を受ける場合、のいずれかに該当する場合には、この制度の適用はない。

 事例でみると、2000万円で購入した土地を3000万円で売ると、取得費2000万円を差し引いた1000万円が譲渡所得となる。原則、この譲渡所得に対して、所有期間に応じ、5年以内の短期所有であれば30%、5年超の長期所有であれば15%の所得税が課される。22年の取得の場合、28年以後に譲渡すると所有期間が5年を超えるため、この譲渡所得1000万円は、長期譲渡所得に該当し、原則15%の税率により所得税が課される。

 つまり、譲渡所得1000万円の15%というと150万円の所得税が課されることになるが、平成22年の取得であれば、「土地等の長期譲渡所得の1000万円の特別控除」を適用することができるので、長期譲渡所得金額1000万円から特別控除額1000万円を控除すると所得税の対象となる課税長期譲渡所得金は0円となるので、土地の譲渡に関しては、所得税が課税されないことになる。