国税庁、「相続税にも推計課税を」
カテゴリ:05.相続・贈与税, 15.税制改正 トピック
作成日:11/22/2012  提供元:21C・TFフォーラム



 平成25年度税制改正に向けて国税庁がまとめた独自の意見書の中に、「相続税の課税財産の範囲に関する推定規定の新設」が盛り込まれていることが関係者への取材でわかった。

 これは、「相続開始以前の一定期間中に、被相続人の財産を処分または被相続人が債務を負担したもので、その使途が客観的に明白でなく、かつ、その合計額が一定金額以上となる場合には、これを相続人が相続したものと推定し、相続税の課税価格に算入する制度を創設する」というもの。

 現在、相続開始前3年以内に被相続人から贈与された財産については、相続財産に加算するという取扱いがあるが、「現金」で動いている場合にはこれがなかなか上手く機能しない。相続開始前に被相続人の銀行口座から大金が引き出されていても、それがどこへ消えたかわからければ税務署は手も足も出ないのだ。今回の「意見」は、こうした問題をなんとか解消したいという国税庁の切なる願いでもある。

 「意見」では、お隣韓国の成功例も説得材料として打ち出している。韓国における相続税の推計課税制度は、被相続人が相続開始前にその財産を処分または債務を負担した場合で、一定のケースに該当するときは、相続したものと推定して相続税の課税価格に算入するという内容。

 「一定のケース」とは、1)相続人が財産を処分して取得した金額または被相続人の財産から引き出した金額が、相続開始前1年以内に財産種類別に計算して2億ウォン以上の場合および相続開始前2年以内に財産種類別に計算して5億ウォン以上の場合で、用途が客観的に明白でない場合、2)負担した債務の合計額が、相続開始前1年以内に2億ウォン以上の場合および相続開始前2年以内に5億ウォン以上である場合で、用途が客観的に明白でない場合――。

 日本の国税庁も同制度の「期間」と「金額」で対象を絞り込んで課税する方法を参考にしたいようだ。日本では現在、所得税と法人税についてのみ認められている推計課税だが、近い将来、相続税にまで拡大する可能性があるようだ。