政府税調、所得税改革の「答申」見送り
カテゴリ:15.税制改正 トピック
作成日:05/19/2016  提供元:21C・TFフォーラム



 政府税制調査会が、所得税改革に関する中期答申を見送る方針を明らかにした。配偶者控除などの見直しの方向性を示す予定だったが、増税色が強いことから夏に行われる参院選に配慮したとの見方が強い。

 政府税調は、税制の抜本改正などを議論する首相の諮問機関。委員の任期は3年で、最後に中期答申を示すのが慣例となっている。

 昨年秋の「論点整理」では、現行の所得控除を抜本的に見直す方針を提示。低所得者層に配慮した「ゼロ税率」や税額控除の導入、また専業主婦等を優遇する配偶者控除を廃止して原則全ての夫婦を対象とする新制度を導入することなどについて議論を重ねてきた。

 税調委員は今年6月に任期を迎えるため通常なら中期答申をまとめる時期だが、今回「見送り」となった背景には参院選の存在がある。ちょうど今夏の参院選の直前にあたることから、税負担が増える世帯からの反発も予想され、選挙の争点となるのを避ける狙いがあるとの見方が強い。

 中里会長は会見で「所得税は国民の価値観にかかわる問題で時間をかけた丁寧な議論が求められる。あと1ヵ月でまとめるのは適切ではない」と述べ、見直しの具体策は、次の体制で引き続き議論するとした。