マイホーム買換え特例で遡及増税
カテゴリ:02.所得税, 15.税制改正 トピック
作成日:12/26/2013  提供元:21C・TFフォーラム



 マイホーム税制の定番「特定居住用財産の買換え特例」がまた縮小される。特定居住用財産の買換え特例とは、マイホームを買い換える際、売った価額より買換え資産の価額の方が大きい場合に、譲渡所得税を将来に繰り延べることができる制度。

 例えば、1千万円で購入したマイホームを5千万円で売却し、7千万円のマイホームに買い換える場合、通常なら4千万円の譲渡益が課税対象になるが、特例を適用すると売却した年には課税されず、買い換えたマイホームを将来譲渡するときまで譲渡益課税が繰り延べられる。

 あくまで「繰り延べ」であり非課税になるわけではないが、目先の持ち出しがなくなることで動きやすくなるため、マイホームの買換えシーンには欠かせない特例となっている。この特例の適用期限は平成25年末までとされていたが、与党の平成26年度税制改正大綱には、この特例の適用期限を2年延長させた上、譲渡対価要件を現行の1億5千万円から1億円に引き下げることが盛り込まれた。

 この特例、ここ数年で適用範囲が徐々に狭まっている。まず平成22年度改正で譲渡価額について「2億円以下」という金額要件が初登場。この時点ではまだ適用除外のターゲットは一部の富裕層に限られていた感があるが、その後、平成24年度改正で「1億5千万円以下」に引き下げられ、さらに今回「1億円以下」に引き下げられることで、都市部に住む一般市民も完全に射程範囲に入ってきた。

 ちなみにここでいう譲渡価額には、マイホームの譲渡対価だけでなく、固定資産税清算金も含まれる。売買契約書に記載された金額が1億円でも、固定資産税清算金を含めるとこれを超えてしまう場合には特例の適用はないので注意が必要だ。

 今回の改正は平成26年1月以後の「譲渡」からの適用であるため、事実上の遡及増税となる。マイホームの譲渡価額が1億円を超えてしまう場合、来年以降の売却だと特例が適用できなくなるため早急な対応が必要。とくに現行制度ではセーフとなる「1億円~1億5千万円」のゾーンに入りそうな場合は注意したい。足切りラインに引っかかって特例の適用除外となる場合には、居住用財産を譲渡した場合の3千万円特別控除など他の特例の適用を検討する必要がある。