地方法人関係税めぐる攻防が激化
カテゴリ:06.地方税 トピック
作成日:11/18/2013  提供元:21C・TFフォーラム



 消費増税をきっかけに地方の法人関係税をめぐる攻防が激化している。消費増税を含む抜本改革までの暫定措置とされてきた地方法人特別税の廃止や政府が検討している法人住民税の一部国税化(地方交付税原資化)をめぐり、東京など大都市部の都府県と他県の間で利害が対立しているためだ。地方法人関係税をあくまで課税自治体の独自財源とするのか、それとも一部を地方間の調整財源とするのか。議論は錯綜している。

 政府は年末の税制改正に向けて法人住民税の一部国税化を検討中。11月6日、総務省に設置された「地方法人課税のあり方に関する検討会」(神野直彦会長)も地方法人特別税の廃止と法人事業税への復元、併せて法人住民税法人税割の地方交付税原資化を内容とする報告書を総務相に提出した。

 だが、全国知事会の地方税財政常任委員会委員長を務める富山県の石井知事は、8日の全国知事会議で地方法人特別税を廃止して元に戻すと地方間の税収格差が拡大するとし、国と地方で法人住民税法人税割と消費税の税源交換をしてはどうかと呼びかけた。同じ席で東京都の猪瀬知事は、法人事業税の復元とともに法人住民税交付税化を考え直すよう要求。15日には大村愛知県知事ら大都市圏の4都府県の知事らが関口総務副大臣に法人住民税国税化反対の緊急共同要請文を手渡した。

 地方分権というテーマでは共同歩調をとる全国の知事たちも、税収格差という利害が露わになればたちまち対立が先鋭化する。地域の偏在性という特徴を持つ法人関係税をめぐる攻防は年末の決着まで続くことになる。