スキャナ保存制度見直しのポイント
カテゴリ:16.その他 トピック
作成日:08/10/2016  提供元:21C・TFフォーラム



 平成28年度税制改正において、国税関係書類に係るスキャナ保存制度について見直しが行われた。主な改正事項は、1)読取装置に係る要件の緩和、2)受領者等が読取を行う場合の手続きの整備、3)相互けん制要件に係る小規模事業者の特例の新設。1)は、スキャナについて、原稿台と一体となったものに限定する要件を廃止し、スマートフォンなどの携帯型画像記録装置を活用した電子保存を認めている。

 2)は、国税関係書類(契約書、領収書等の重要書類に限ります)を受領する者がスマホなどで読み取りを行う場合には、次に掲げる事項をスキャナ保存に係る承認の要件とする。(A)国税関係書類の受領等後、受領者が国税関係書類に署名した上で、特に速やか(3日以内)にタイムスタンプを付す、(B)記録する国税関係書類が日本工業規格A4以下の大きさの場合には、国税関係書類の大きさに関する情報の保存を不要とする。

 さらに、(C)適正事務処理要件のうち、相互けん制要件(スキャナ読取の各事務についてそれぞれ別の者が行う体制)については、国税関係書類の受領者以外の者が記録事項の確認(必要に応じて原本の提出を求める)を行うこととすることで足りることとし、定期検査要件については、定期検査を了するまで必要とされている国税関係書類の原本保存を本店、支店、事務所、事業所その他これらに準ずるものにおいて行うこととする。

 また、3)については、小規模企業者(従業員が20人以下等の中小企業基本法に定める小規模企業者)の場合には、上記の定期検査要件について、税理士などの税務代理人による検査とすることで、相互けん制要件を不要にできる。例えば、1人で建設業を営んでいる小規模事業者は、定期的な検査を税務代理人に依頼することで、相互けん制要件は不要となる。

 したがって、これまで制度の利用には最低3人(領収書等の受領者、内容確認する経理担当者等、定期的に事後検査する人)が関わる必要があったが、2人(領収書等の受領者、定期的に事後検査をする税務代理人)で利用できるようになる。これらの改正は、平成28年9月30日以後に行う承認申請について適用される。