生活衛生関係営業の3割が消費税引上げ分を価格転嫁できず
カテゴリ:03.消費税 トピック
作成日:09/10/2014  提供元:21C・TFフォーラム



 日本政策金融公庫が、飲食業や美・理容業、ホテル・旅館業など生活衛生関係営業企業を対象に6月下旬に実施した「生活衛生関係営業の景気動向等調査(4~6月期)特別調査」結果(有効回答数3074社)によると、消費税引き上げ(5%→8%)時の価格転嫁は、「全ての商品・サービスに上乗せした」が36.0%、「一部の商品・サービスに上乗せした」が34.1%、「全く上乗せしなかった」は29.9%となった。

 生活衛生関係営業の3割が消費増税分を価格転嫁できなかったわけだが、「全く上乗せしなかった」の回答割合は、従業者規模別では、規模が小さいほど高く、従業者「2人以下」では41.7%と4割を超え、次いで「3~5人」の24.6%を大きく上回っている。業種別にみると、「全ての商品・サービスに上乗せした」の割合は、「美容業」(56.2%)、「氷雪販売業」(55.2%)、「クリーニング業」(50.6%)の順に高い。

 これに対して、「公衆浴場業」(8.0%)や、「映画館」(11.3%)、「理容業」(23.3%)、「飲食業」(31.3%)の4業種は、「全ての商品・サービスに上乗せした」割合の平均36.0%を下回った。最近1年間の収支状況別にみると、「全ての商品・サービスに上乗せした」の割合は、「収支はプラスであり、少しずつ貯蓄もできている」と回答した17.2%の企業が43.8%など、収支状況が良好であるほど高くなっている。

 消費税引上げ前後での商品・サービスのメニュー・提供内容の変更の有無では、「変更した」割合が20.6%となっている。業種別にみると、「変更した」割合は、「映画館」(26.4%)、「飲食業」(26.2%)、「ホテル・旅館業」(18.5%)の順に高い。これに対し、「理容業」(11.4%)、「食肉・食鳥肉販売業」(13.6%)、「クリーニング業」(13.7%)、「氷雪販売業」(13.8%)などは「変更した」割合が低い。

 商品・サービスのメニュー・提供内容を変更したことでの収益面の効果では「効果があった」が39.8%を占めた。業種別にみると、「効果があった」割合は「食肉・食鳥肉販売業」(50.0%)、「ホテル・旅館業」(45.2%)、「理容業」(43.9%)の順に高い。商品・サービスのメニュー・提供内容の変更の具体的内容では、「全ての商品で転嫁せずに、ハム・ウィンナー等は商品ごとに売値を変えずに量を減らした」(食肉販売業、宮崎県)といった声があった。

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