宗教法人法が非課税対象とする境内地等には該当しないと判示
カテゴリ:06.地方税 裁決・判例
作成日:02/07/2017  提供元:21C・TFフォーラム



 都内で納骨堂事業を行っている宗教法人の土地が固定資産税及び都市計画税の課税対象になるか否かの判断が争われた事件で東京地裁(谷口豊裁判長)は、宗教団体の主たる目的を実現するために専ら使用されているとは認められず、宗教法人法が非課税対象として定める境内建物及び境内地に該当するとは言えないと判断、宗教法人側の請求を棄却した。

 この事件は、地方の宗教法人が都内に有する土地及び建物に対し、都税事務所が固定資産税及び都市計画税の賦課処分をしたのが発端。そこで宗教法人側が、建物で納骨堂を運営する敷地に該当するため、宗教法人法3条が定める専ら宗教法人本来の用に供する境内建物及び境内地に該当することから、固定資産税及び都市計画税の課税対象外になると主張して、東京都に賦課処分の取消しを求めて提訴したという事案である。

 都税事務所側は、宗派の本尊が祀られている本堂、僧侶の庫裏、寺務所として使用されている部分は非課税になるものの、建物のその他の部分は、納骨堂事業における使用者の利用施設及びこれに付随する施設にすぎないと判断、非課税部分と非課税対象外部分に按分して固定資産税等を賦課してきたわけだが、宗教法人側は納骨堂の使用実態から見ても、宗教目的に基づき本来の納骨堂としての用に供しており、宗教の教義を広めて儀式行事を行い、及び信者を教化育成するために必要な建物に該当すると反論して、その取消しを求めた。

 しかし判決は、宗教法人法が非課税と定める境内建物及び境内地は、宗教法人の主たる目的のために欠くことのできない建物、工作物及び土地を意味すると解釈。また、宗教団体の主たる目的以外の目的による使用が例外的にではなく行われている場合は、固定資産税等の非課税要件を満たさないと解釈して、非課税か否かの判断は、建物及び土地の実際の使用状況を一般の社会通念に基づいて外形的、客観的に判断すべきであると指摘した。

 結局、事実認定の結果、宗教団体としての主たる目的を実現するために使用している状態にあるとは認められないと指摘するとともに、宗教法人法3条が非課税対象として定める建物境内及び境内地に該当するとはいえないと判示して、棄却した。

(2016.05.24東京地裁判決、平成27年(行ウ)第414号)