死亡退職の場合は最終給与にて年末調整が必要
カテゴリ:02.所得税 トピック
作成日:08/26/2015  提供元:21C・TFフォーラム



 年末調整の対象者の範囲に「死亡により退職した人」があるが、死亡退職の場合には、年末ではない場合でも最終給与において年末調整を行う必要がある。例えば、8月20日で退職予定の社員が12日に死亡した場合、年末調整は、死亡後に支払う給与分は含まず、前月までの支払給与で行う。具体的には、今年の1月から7月分までの給与や賞与を対象として、通常と同じように年末調整を行うことになる。

 つまり、年の途中で亡くなった場合は、死亡した日までに支払の確定した給与等総額を対象として年末調整を行う。死亡後に支払日の到来する給与(上記の例でいえば8月分の給与)は、所得税の課税対象ではなく、相続税の申告の際に相続財産に含めて計算するため、年末調整の対象外となる。したがって、死亡後に支払いが発生する最終給与からは源泉所得税の徴収は不要となる。

 年末調整の際、源泉徴収票は、死亡した人の相続人が準確定申告を行う際に使用するので、相続人にその年の源泉徴収票を交付しなければならない。また、年末調整により還付となる場合、税務署に納付する納付書の記入については、通常の年末調整後の納付のときと同様に、還付金額を納付書の「年末調整による超過税額(05)」に記載して、納付額から控除する。

 死亡退職金については、相続財産に該当するので、源泉徴収は不要となる。会社の提出書類は、相続税法の規定により、「退職手当金等受給者別支払調書」で、「退職所得の源泉徴収票」と「特別徴収票」は提出する必要はない。なお、死亡退職金でない場合には、「退職所得の受給に関する申告書・退職所得申告書」を従業員に提出してもらい、それに基づいて、会社は源泉徴収の有無を検討することになる。