国際的租税回避スキームの開示義務化へ
カテゴリ:07.国際税務 トピック
作成日:08/25/2016  提供元:21C・TFフォーラム



 パナマ文書の流出を機に国際的租税回避への監視の目が強まる中、政府が国際的租税回避スキームの情報開示義務の策定に本腰を入れ始めた。タックスヘイブン(租税回避地)を利用した悪質な税逃れを封じ込めるのが狙いで、企業や富裕層に対して租税回避スキームを指南する税理士や会計事務所などを対象にスキーム開示を義務づけるルール作りを行う。開示を拒む場合には罰則も設けるという。

 租税回避の成功報酬を受け取っていることなど、一定の基準を満たしたケースが開示義務の対象となる見込みで、適正な節税策も開示対象に含まれる。租税回避スキームの情報開示義務は、BEPSプロジェクトに沿った内容だ。BEPSプロジェクトとは、各国の税制の違いを利用した租税回避を防止するため、OECD・G20が立ち上げた国際課税ルール全体を見直すプロジェクト。

 平成27年10月に15の行動計画について最終報告書が公表され、同年11月にはG20サミットに報告されている。加盟各国において国内法の整備が求められており、日本でも段階的に対応中。今回の開示義務は、同プロジェクトの「行動計画12」に当たり、「義務的開示制度:プロモーター及び利用者が租税回避スキームを税務当局に報告する制度(義務的開示制度)を検討」と示されている。

 同様の情報開示制度は、米国や英国、カナダなどG20加盟国の多くではすでに導入済みで、日本は一歩遅れている。政府は、9月から本格的な検討を開始し、平成30年度からの実施を目指すという。