税調答申前に強まる税源交換めぐる綱引き
カテゴリ:06.地方税 トピック
作成日:11/19/2007  提供元:21C・TFフォーラム



 2008年度の税制改正に向けた政府税調答申を前に、国と地方の税源取り合いをめぐる国と地方の綱引きが活発化している。

 13日財務相の諮問機関である財政制度等審議会は、焦点となっている地方税収の格差是正について法人事業税と法人住民税の法人2税を「共同財源」とし、地方間で財政移転させるしくみを提案した。富裕自治体と貧困自治体の間で財政の水平調整させることで、地方側がねらう消費税の地方分拡大には手をつけさせたくない財務省の思惑をあらわしたものだ。

 一方、総務相の諮問機関である地方財政審議会も負けていない。16日、「自治体間の財政格差是正に関する意見」を公表し、地方が安定した行政サービスを提供するために安定した財源を必要としていることから、かつて外形標準課税が導入された例を引いたうえで、法人2税と消費税を税源交換する「増田プラン」への支持を明確にした。

 ところが地方も一枚岩ではない。同16日、地方分権改革推進委員会の「中間まとめ」に向けた議論では、増田プランを後押しする「財政調整の新たなしくみの検討」とする原案をめぐって都市と地方の論理が対立。賛成する意見と「財政調整のあり方」へと修正すべきとする意見が対立、利害関係が露になった。

 この間、福田康夫首相は08年度中の消費税率の引上げを見送る考えを明らかにした。流動的な国会情勢を受けて、政権の命取りとなる可能性のある同税の負担増を当面避けたい考えと見られ、法人2税と消費税をセットの改正案は大山鳴動で終わる可能性も囁かれている。