「消費税還元セール」などを禁じた消費税特措法が成立
カテゴリ:03.消費税 トピック
作成日:06/10/2013  提供元:21C・TFフォーラム



 来年4月からの消費税引上げを前に、増税時の価格転嫁の円滑化を図る消費税の特別措置法が5日、参院本会議で可決、成立した。平成29年3月末までの時限立法となる。同特措法は、立場の強い大手小売事業者などが、中小事業者などに増税分の価格転嫁を拒否することを禁じるほか、消費者に消費税を取らないという誤解を与えかねない「消費税還元セール」などの広告表示を禁止する規定が盛り込まれている。

 消費税率は平成25年4月に8%、26年10月に10%と二段階で引き上げられる予定だが、その際、仕入側の大手小売事業者が、納入側の中小事業者に対し、増税分の価格転嫁を拒むことや、価格転嫁に応じることと引き換えに、値札張替え作業などサービスの見返りを求めること、商品等の価格交渉において消費税を含まない価格を用いる旨の申し出を拒むことなどを禁止し、消費税の適正転嫁を図る。

 広告表示については、政府は当初、「消費税還元セール」など消費税相当額を店が負担する旨などの宣伝や広告を禁じるだけでなく、「3%値下げ」といった消費税増税を連想させる表示も禁止する方針だったが、小売業者の強い反発に配慮し、消費税との関連性がはっきりしない「春の生活応援セール」や、たまたま消費税率の引上げ幅と一致するだけの「3%値下げ」といった消費税の文言が入らない表示は認めることにした。

 また、小売事業者の事務負担を軽減するため、価格の表示に関する特別措置を設けて、税額を含めた価格表示を義務付ける「総額表示義務」を時限措置として緩和し、「100円+税」などといった表示価格が税込価格と誤認されない表示であるときに限り、その表示を認める。また、消費税の適正な転嫁のため必要があるときは、税込価格に併せて、消費税を含まない価格または消費税の額を表示することも認める。

 さらに、事業者や事業者団体に対しては、参加企業の3分の2以上が中小企業であることを条件に、独占禁止法で禁止されているカルテルを例外的に一部容認する。増税分を申し合わせて一律に価格に上乗せする「転嫁カルテル」や、価格の表示方法を業界で統一的に定める「表示カルテル」を認める。今後は、違反行為に対する具体的な罰則規定を設けることや、何が法律違反となるのかを具体的に示すガイドラインを作成する方針だ。