税務調査「事前通知」の例外に注意
カテゴリ:08.国税通則法 トピック
作成日:11/12/2015  提供元:21C・TFフォーラム



 税務調査シーズン真っ盛り。事前通知が行われるようになったことで、調査の受け手にとってはずいぶん負担が減少したようだ。

 事前通知とは文字通り、税務調査に入る旨を事前に税務署から調査先に通知すること。具体的には、調査を開始する日時、調査を行う場所、調査の目的、調査の対象とする税目、調査の対象となる期間、調査の対象となる帳簿書類その他の物件などを、調査先の社長や税理士に対して文書または電話で通知することとされている(国税通則法74条の9)。

 かつては任意で行われていた事前通知だが、国税通則法改正によって平成25年1月以後の調査から義務化され、これによりある日突然税務調査に入られて大慌てするといったことは少なくなった。

 しかし、事前通知はあくまで原則であり、「例外」もあるので十分な注意が必要だ。 国税通則法74条の10では、事前通知することで「違法または不当な行為を容易にし、正確な課税標準等または税額等の把握を困難にするおそれ」、または「その他、調査の適正な遂行に支障をおよぼすおそれ」があると判断された場合には無予告での調査を認めている。

 判断材料となるのは、税務申告内容や過去の調査結果など税務署が保有する情報。法人税調査を長年手がけてきた元税務署長は、「例えば過去の調査で申告漏れが指摘されたことのある会社などは無予告調査の対象になり得る」と話す。

 合理的な理由なく調査を拒否した場合には「1年以下の懲役または50万円以下の罰金」という罰則(同127条の2)もあるため、日頃から〝不測の事態〟への備えは万全にしておきたい。