税効果会計ルールの見直し、その他有価証券や減損損失等を議論
カテゴリ:09.企業財務 トピック
作成日:07/18/2014  提供元:21C・TFフォーラム



 年初から税効果会計ルールのあり方を検討している企業会計基準委員会(ASBJ、小野行雄委員長)は、「繰延税金資産の回収可能性の判断に関する監査上の取扱い」(監査委員会報告第66号;以下、第66号)を中心に、見直しの是非を議論している。7月10日には「第6回 税効果会計専門委員会」を開き、「その他有価証券の評価差額及び固定資産の減損損失に係る税効果会計の適用における監査上の取扱い」(監査委員会報告第70号;以下、第70号)に関連する論点を巡り議論。また、設例(例示区分)に基づく第66号全般に関わる論点も検討した。

 第70号の主な論点は、1)その他有価証券の評価差額に関する取扱いの見直し、2)償却資産の減損損失に係る将来減算一時差異について、3)監査委員会報告第66号の減価償却超過額等の取扱いの見直し、の3つ。関連した意見は、次のとおり。

 1)では、「第70号の取扱いは、“その他の包括利益項目”(退職給付会計の未認識項目や繰延ヘッジ損益など)に比べて規定が細かすぎるので整合性をとるべき」といった指摘がなされた。2)では、「減損損失計上後も当該固定資産を継続的に事業に用いる場合、損失に係る将来減算一時差異は、長期にわたり当該資産の償却に応じて解消される。そのため将来の税負担を軽減する効果は減価償却超過額と同様であり、取扱いも合わせて良いのでは」との意見が多数出た。3)では、「長期解消一時差異について、例示区分1号から、“4号ただし書き”までを回収可能と判断される理由を明確化すべき」との指摘があった。

 次に、第66号の「設例」の検討では、例えば、従来は例示区分1号であったが同2号になる場合などを議論。「スケジューリング不能な将来減算一時差異の取扱いに係る規定」について、「一律に回収不能と判断するのは実態を表さない」、「合理的に説明出来れば回収可能と判断してよいのでは」等の意見が出た。