消費税の経過措置、「追加工事」に要注意
カテゴリ:02.所得税, 03.消費税 トピック
作成日:06/13/2013  提供元:21C・TFフォーラム



 消費税増税に伴う経過措置と住宅ローン控除の拡大で不動産市場が大きく動いているが、両者の関係には十分な注意が必要だ。消費税率は平成26年4月1日に8%、同27年10月1日に10%へと2段階での引上げが予定されているが、経過措置により、指定日(同25年10月1日と同27年4月1日)の前日までの工事請負契約については、引き渡しが増税後であっても旧税率の適用となる。

 一方、住宅ローン控除は、平成25年度税制改正により最大控除額が現行の200万円から400万円に倍増した(一般住宅の場合)。こちらは同26年4月以後の居住分からの適用。注意が必要なのは、消費税の経過措置によって5%税率を適用している場合は、同26年4月以後の入居でも新住宅ローン控除の適用はないということ。新住宅ローン控除が適用できるのは「消費税8%または10%税率が適用された住宅」のみとされているためだ。経過措置の指定日以後に追加工事契約をするケースも注意が必要となる。

 住宅建築工事の請負契約を結んだ後に、オプションの追加などで新たな請負契約を結ぶことはよくあるが、当初契約が経過措置の対象になっているケースでも、指定日後に追加工事の契約をした場合は、その追加工事の部分については経過措置の適用はない。同じ住宅に税率の異なる2種類の消費税がかかってくるということだ。これは、新税率の施行日をまたいだ追加契約でも同様となる。

 そうなると気になるのが住宅ローン控除への影響だが、5%消費税の対象となる部分と、8%(または10%)消費税の対象となる部分が混在する場合は、それぞれを1つの住宅の取得と捉え、住宅ローン控除の計算を2本立てで行うことになる。つまり、経過措置の対象となった当初契約部分は現行制度(最大200万円)を適用。追加工事部分は新制度(最大400万円)を適用。最終的な税額控除額は2つの税額控除額の合計額となり、この場合の控除限度額は、大きい方の額(最大400万円)に合わせることになる(租税等別措置法41条の2)。