29年度税制改正法案を閣議決定、平年度で421億円の減収
カテゴリ:15.税制改正 トピック
作成日:02/06/2017  提供元:21C・TFフォーラム



 政府は2月3日、平成29年度税制改正法案を閣議決定し、同日国会へ提出した。同年度の税制改正により、国税は、初年度が40億円、税制改正の各項目を全て1年間適用した場合の平年度が170億円のともに増収、地方税は、初年度▲11億円、平年度▲591億円のともに減収見込みとなる。トータルで平年度は、国の税収が170億円増える一方、地方の税収は▲591億円減り、差し引き▲421億円の減収となる見込みだ。

 税制改正法案によると、配偶者控除を見直して、所得控除額38万円の対象となる配偶者の所得上限を給与収入150万円(現行103万円)に引き上げる一方、納税者本人に所得制限(給与収入の場合:1120万円で控除額逓減開始、1220万円で消失)する。この改正で、平年度、国税は390億円の増収、地方税は▲423万円の減収、差し引きでは▲33億円の減収となる。地方自治体の減収分は、全額国が補てんする。

 個人所得課税は、そのほか、NISAにおいて、年間投資上限額40万円、非課税期間20年の「積立NISA」を新たに創設することで▲240億円の減収となる。個人所得課税は、配偶者控除等の見直しで390億円の増収があるので、トータル150億円の増収となる。また、法人課税は、研究開発税制の見直しが130億円の増収、中小企業向け設備投資促進税制の拡充で▲120億円の減収など、トータルでは20億円の増収となる見込み。

 研究開発税制は、減税対象となる研究開発の定義に新たにサービス開発に係る一定の費用を追加する一方で、控除割合は原則、開発費の増加割合に応じる仕組みとする。総額型の税額控除率を試験研究費の増減割合に応じた税額控除率とする制度に改組(試験研究費の水準に応じて8~10%(中小法人は12%))し、試験研究費の増減割合に応じて税額控除率を6~14%(中小法人は12~17%)に変動させる。

 中小企業投資促進税制は上乗せ措置を改組して中小企業経営強化税制を創設し、対象に全ての器具・備品、建物附属設備を追加する。一定の中小企業者等で中小企業等経営強化法の経営力向上計画の認定を受けたものが、平成29年4月1日から31年3月31日までの間に、一定の設備等を取得等し、国内にあるその法人の指定の事業の用に供した場合に、即時償却又は7%(特定中小企業者等は10%)の税額控除を選択適用できる。