生命保険の契約者変更が丸裸に
カテゴリ:02.所得税, 05.相続・贈与税, 15.税制改正 トピック
作成日:01/15/2015  提供元:21C・TFフォーラム



 生命保険の契約者変更が税務署に把握されるようになる。これは国税庁の8年越しの要望で、平成27年度税制改正大綱に盛り込まれたもの。大綱によると、「生命保険契約等の一時金の支払調書等について、保険契約の契約者変更か?あった場合には、保険金等の支払時の契約者の払込保険料等を記載することとする」とされている。

 生命保険の契約者と被保険者が異なるケースで契約者が死亡した場合、保険契約は相続人等に引き継がれて継続することになる。その後、保険事故が発生して保険金が支払われた場合、保険金受取人は保険金から自分が支払った保険料を差し引いて所得計算することになるが、その際、契約変更前の契約者が支払った保険料も経費に含めてしまうケースが少なくないという。

 本来であれば契約者変更の時点で解約返戻金相当額が相続税の対象となるが、きちんと申告しているケースは稀。保険金が支払われれば保険会社から税務署に支払調書が提出されるが、契約者変更だけでは調書は発生しないため、納税者自ら申告しない限り税務署が契約者変更の事実を把握することはできない。

 また現在の支払調書は保険金支払い時点の契約内容で作成されるため、契約者変更があったことまでは確認できない。契約変更時、保険金支払時の2段階にわたり課税もれが発生し得る状況をなんとかしたいということで国税庁が求めていたのがこの支払調書への契約者変更に関する記載だ。

 新制度の適用は平成30年1月1日以後の契約者変更から。契約者変更を前提に保険加入したケースなどは課税関係を十分確認しておく必要がある。